トナカイ牧場で伝統の儀式に立ち会う

トナカイは鼻先まで毛に覆われているって、知ってた?(C)Visit Finland

 先住民のサーミとトナカイは氷河期後期から共に暮らしてきた特別な間柄。ラップランドでは人口よりもトナカイの数の方が多いとか。そんなトナカイと触れ合える牧場の「ポロティラ・レインディア・ファーム」へ。

ラウンドアップという柵の中になだれ込むトナカイたち。

 今回の旅では幸運にも、トナカイにまつわる伝統的な行事を見学する機会が! 放牧中のトナカイを一堂に集めて行う行事が年に2回あり、夏は“ポロメルキトス”、冬は“ポロエロトス”と言う。夏は生まれてきた子トナカイたちの持ち主を決めるためのもの、そして冬は食用のトナカイを選りわけるものだ。

いつもと何か違うと感じるのか、トナカイたちもドキドキの様子。

 冬のポロエロトスはちょっと残酷に聞こえるかもしれないが、政府によって1家族につき所有するトナカイの頭数を決められていること、若いオスは残し、年老いたものを選んでいることを考えると、サーミの伝統のひとつとして大切に思える。もちろん食用になったトナカイは毛皮や肉はもちろん、蹄までもきちんと使いきる。

冬の間、森に放たれていたトナカイたちを集め、持ち主の元に戻す。耳に刻まれたマークで誰の所有か、確認する。
ポロティラ・レインディア・ファームを切り盛りするサーミのペトリ・マッツさんとご家族。

 ポロエロトスの会場はラウンドアップという柵をめぐらした円形の場所。追い込まれたトナカイたちが狭い通路から柵の中へ、勢い込んで飛びだしてくる。サーミの牧場主たちは耳に自分の印のついたトナカイを探し出し、集めて、連れて帰る。トナカイたちの目は必死だが、サーミは世間話をしながら、どこか楽しそう。

 通常のトナカイ牧場では餌付けや、春先に生まれた子トナカイの耳のマーキング(所有者を示す)のお手伝いができる。真っ白な産毛にくりくりおめめの子供のトナカイの愛らしさに、もうキュンキュンになること必至だ。

Porotila Reindeer Farm(ポロティラ・レインディア・ファーム)
所在地 Kittiläntie 3700 B, 99870 Inari
電話番号 +358-400-193-950
URL http://www.petrimattus.com/

【取材協力】
Lapland-The North of Finland
URL http://www.onlyinlapland.com/

【情報提供】
フィンランド政府観光局
URL http://www.visitfinland.com/ja/

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/5世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/