最初からベーシストを目指す人はいないけれど……

星野 細野さんが後に本職となるベースを弾き始めたのはいつからだったんですか?

細野 もう、19歳とか20歳になってから。

星野 意外に遅かったんですね。

細野 だって、最初からベースを選ぶ人なんかいないよ。誰も弾かないから、じゃあ自分がやるかっていう感じでベーシストに転向した人が多いと思うよ。でも、ベーシストにはすごいミュージシャンが多いじゃん。ビートルズのポール・マッカートニー、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン……。

星野 ほんとですね。

細野 それに気づいた時、あ、これでいいんだと思った。

星野 ということで、この相談を下さった方の娘さんにはベースをおすすめします!

細野 ……だけど、ベースは、一人で演奏してもつまんないからなあ(笑)。ヴァイオリンもそうだけど、単旋律の楽器は面白くない。やっぱり、和音の鳴らせる楽器がいいよ。

星野 言われてみればそうかもしれませんね。

細野 そういえば、日本で天才ピアニストと呼ばれる女性は、大抵、ちっちゃい頃にヤマハのエレクトーン教室に通ってるんだよ。エレクトーンがいいんじゃない?

星野 じゃあ、最初にエレクトーンを習って、その後にベースを弾いてもらうことにしましょう(笑)。

『地平線の相談』

著・細野晴臣 星野源
本体1,400円+税 文藝春秋

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細野晴臣(ほその はるおみ)
1947年東京都生まれ。69年、エイプリル・フールのメンバーとしてデビュー。その後、はっぴいえんど、ティン・パン・アレー、イエロー・マジック・オーケストラなどで活動。2013年、アルバム『Heavenly Music』をリリース。
URL http://www.hosonoharuomi.com/

星野源(ほしの げん)
1981年埼玉県生まれ。学生の頃より音楽活動と演劇活動を行い、音楽家、俳優、文筆家として幅広く活躍。『そして生活はつづく』(文春文庫)、『蘇える変態』(マガジンハウス)など著書多数。
URL http://www.hoshinogen.com/