Vol.13_GUERLAIN
稀少な天然由来成分へのこだわりは蜂蜜から生まれた
ここ数年、“ハチミツ”成分が配合されたスキンケア製品が数多く出ていて、保湿効果が高いとか肌に優しいといったイメージを持っている人も多いはず。2010年に誕生したゲランの「アベイユ ロイヤル」もこの仲間に入れられることが多いのだけれど、ずっと愛用している私としてはちょっと残念な思いがある。というのもこのシリーズ、“リペア”を目指した本格的なエイジングケアだから。ゲランと蜂の関係は実に古く、その原点となる製品が登場したのはブランド設立まもない1840年のこと。
「創業者のピエール フランソワ・パスカル・ゲランは、当時すでに蜂が持つ創傷治癒力に着目していて、ハチミツとアーモンドを配合したペーストを開発し、それを用いたスキンケアは大好評を博しました。稀少な天然由来成分にこだわるゲランのスキンケアの基盤はここから始まったと言っていいでしょうね」と話すのはゲラン研究所 ディレクターのフレデリック・ボンテさん。
創傷治癒力とは皮膚などに傷を受けたときに自ら治そうとする自然治癒力のこと。フランスでは傷口に蜂蜜を直に塗り、包帯でくるむ“ハニーバンテージ”という治療法があるほどで、医療の分野にも用いられているという。
「アベイユ ロイヤルの開発はその治療法の権威であるフランス リモージュ大学のベルナール・デコット教授の協力を得てスタートしました。25年にわたる臨床研究から他の治療法に比べて短期間に傷が完全に治癒することがわかり、そのプロセスがエイジングサインの修復過程と共通のメカニズムを介することを発見。エイジングケアに応用したのです。そしてこの春、美容液がパワーアップしました」(ボンテさん)
要するに肌内部に自然治癒と同じプロセスを作り出すことで自己修復力を高め、肌組織を再構築して若々しい肌を呼び戻すのが狙い。その鍵を握るのが蜂の種類や生息地、蜂が採取する花、蜂蜜の抽出法にまでこだわり抜いた“独自の”蜂由来成分だ。
2015.05.03(日)
文=吉田昌佐美
撮影=塚田直寛