Magnificent View #416
プティット・フランス(フランス)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 フランスの北東部、アルザス地域にあるストラスブールは、中世の面影を残す都市。なかでも、ひときわ美しい景観を見せているのが、旧市街のプティット・フランス地区だ。

 レトロな木組みの家みや、カラフルな家壁を映す運河、石畳の小道など、景色はどこを切り取っても絵になり、ハガキを見ているかのよう。

 それにしても、なぜ、フランスという国に「プティット・フランス(小さなフランス)」と呼ばれる地区があるのだろう? それは、フランスとドイツの間で領土争いが繰り返され、何度も祖国が変わったこの街の、波乱の歴史に関係する。

 ここが神聖ローマ帝国の領土だった16世紀、イタリアとの戦争から戻った兵士たちがこの街に立ち寄ったが、性病に罹っていたため隔離することに。その病院を、ドイツ人たちが「フランスのようにふしだらな場所」と蔑称で呼んだことが、名前の由来なのだとか。

 地名の謂れこそ屈辱的だが、現在の街並みは、訪れる人を童心に帰らせるほどの美しさ。まもなくクリスマスのムードも高まり、街はますますロマンチックになる。

Column

今日の絶景

この広い地球上には、まだまだ知られざる素晴らしい景色がある。思わず息を飲んでしまう雄大な自然、ミステリーにあふれた驚きの奇観、そして、人間の文明が刻んだ偉大な足跡……。ここに、選りすぐりの絶景をお届けします。さあ、ヴァーチャルな世界旅行へと出かけよう!

2014.11.20(木)
文=芹澤和美