【次に流行るもう一曲】
May J.「本当の恋」

オリジナル楽曲がヒットすれば本物のスターに

伊藤 この「東京VICTORY」と同日にはMay J.の新曲がリリースされますが、今の彼女はやっぱり「Let It Go ~ありのままで~」ですよね。この曲でスターダムに伸し上がってきての、オリジナルのシングル曲「本当の恋」。カップリングも含めタイアップもしっかりついているので、グイグイ行くんじゃないでしょうか。

山口 NHKワールドで海外140カ国に放送している、世界で唯一のJポップ紹介番組に「J-MELO」という貴重なプログラムがあるのですが、彼女はその司会をしていたので、よく知っています。美人で性格も良くて、英語堪能で、歌も巧い。だけど、だから、ポップシンガーとしては推し方が難しくて、プロデュース側が苦労していた印象でした。非の打ち所が無いって、逆に売りにくいんですよね。

伊藤 優等生よりもヤンキーの方がモテたりしますからね(笑)。でもその優等生も生徒会会長まで上りつめると、ある種の崇高さを身に纏い、羨望の眼差しで見られるようになる、みたいな。

山口 そんな感じかもしれませんね。カラオケ番組でも、メディア露出を続けるって大事ですよね。カバー曲を歌いながら浮上していって、ディズニー映画『アナと雪の女王』の「Let It Go ~ありのままで~」でブレイクしたという印象です。これでオリジナル楽曲がヒットしたら、本当にスター誕生ですね。

伊藤 今回の曲はピアノだけのバラード曲で、地味っていえば地味。なんでもっとゴージャスアレンジにしなかったんだろう? と疑問は残りますが、歌で勝負という現れなんでしょうね。オリジナルでもヒットして、久々のバラード・ディーバの誕生となって欲しいですね。

山口 ヒット曲が予測できるクチコミランキングRUSHの「8/22付発売前ランキング」では、17位ですから、期待できますね。ちなみに、サザン「東京VICTORY」は、9位です。ユーザーの興味も喚起できているので、両曲ともにヒット間違いないでしょう。

May J.「本当の恋」
エイベックス・エンタテインメント 2014年9月10日発売
CD 1,300円、CD+DVD 2,000円(税抜)
■表題曲はTBS系ドラマ「同窓生~人は、三度、恋をする~」挿入歌。この曲のミュージックビデオにはサッカー日本代表の内田篤人選手が体育教師役で出演し、注目を集めている。その他、ヤマザキ「ランチパック」CMソング「Sunshine Baby!」など全3曲を収録。
■「本当の恋」作詞/渡辺なつみ 作曲/大島こうすけ
■オフィシャルサイトURL http://www.may-j.com/

【動画サイト】
「本当の恋」
URL https://www.youtube.com/watch?v=eLJYR0yd8oY

山口哲一 (やまぐち のりかず)
音楽プロデューサー、コンテンツビジネス・エバンジェリスト。(株)バグ・コーポレーション代表取締役、「デジタルコンテンツ白書」(経産省監修)編集委員。プロデュースのテーマに、ソーシャルメディア活用、グローバルな視点、異業種コラボレーションを掲げて、音楽とITに関する実践的な研究を行っている。著書に『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)、『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略』『プロ直伝! 職業作曲家への道』(リットーミュージック)がある。最新刊は『世界を変える80年代生まれの起業家 ~起業という選択~』(スペースシャワーネットワーク)。詳細プロフィールはこちら
Twitter@yamabug https://twitter.com/yamabug
ブログ「いまだタイトル決めれず」 http://yamabug.blogspot.jp/
作曲家育成セミナー「山口ゼミ」 http://www.tcpl.jp/openschool/yamaguchi.html
WEDGE Infinity連載「ビジネスパーソンのためのエンタメ業界入門」 http://wedge.ismedia.jp/category/entertainment

伊藤涼 (いとう りょう)
音楽プロデューサー、ソングライター。ジャニーズ・エンタテイメントで『青春アミーゴ』などのミリオンセラーをプロデュース、後にフリーランスに。ソングライターとして、乃木坂46『走れ!Bicycle』、AKB48『ここにいたこと』などの作品がある。作詞アナリスト、フードミュージックプロデューサーとしても活躍。論理的で明晰な分析力に注目。
マゴノダイマデ・プロダクション http://www.mago-dai.com/
ブログ「伊藤涼の音楽」 http://ameblo.jp/magodai/
伊藤涼が主宰する作詞研究室リリック・ラボ 
http://www.mago-dai.com/?m=201406

Column

来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤

音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

2014.08.31(日)
文=山口哲一、伊藤涼