ベトナム・サパの少数民族の暮らし
サパ周辺には、モン族やザオ族をはじめとする少数民族が暮らしている。民族や集団によって伝統衣装の色や模様、装飾は異なりその色から赤モン族や黒モン族などさらに細分化されている。例えば、黒モン族は藍染めの濃い色合いの衣装で知られ、赤ザオ族は赤い頭飾りや緻密な刺しゅうが特徴的だ。
こうした文化は、藍染めや刺しゅうなどの手工芸にも表れている。農業を営みながら手仕事を受け継いできた人々は、現在、サパの中心街や市場にも足を運び、作物や果物、刺しゅうや染め物の雑貨などを販売している。観光客が集まる街は、地域の人々にとっても現金収入を得る場のひとつだ。
観光客に英語で積極的に声をかけ、商品を勧める女性たちの姿も見られる。印象的だったのは、5歳くらいの日焼けした小さな子どもたちが「これ買って」「ハンドメイドだよ」と次々に声をかけてきたこと。なかには愛らしい子どもや高齢女性も元気よくものを売る。山あいの伝統的な暮らしと、懸命に商いををする日常。その両方が、サパの街にはある。
赤ザオ族のみなさんが教えてくれた、その地で受け継がれる営み
サパの中心外を離れ、タフィン村を訪れた。
少数民族がリアルに暮らす村を訪れることはハードルが高いように思われるが、近年は国内の旅行会社のツアーに組み込まれていることも。実際に、ツアーと見られる観光客の集団と多く出会した。
村に着くと、大きな赤い被り物をした赤ザオ族のみなさんに迎えられた。村を歩くと、少ないながら個人商店や工業用の部品を作る家庭があり、どことなく日本の田舎にも近い雰囲気を感じる。
道に植えられていた葉を赤ザオ族の女性が取り、手に擦りつけると青色に発色した。これが、藍染めに使う葉らしい。
私は、私について取材に協力してくれた女性から、藍染めにピンクと赤の糸で刺しゅうを施した織物を購入した。
その藍染めは絞りなどによる模様がないながらもわずかなムラがあり、そこにピンクと赤の糸で民族文様風の刺しゅうが添えられ、新鮮味があった。人によって刺しゅう糸の配色感覚や模様の細かさが異なることにも、人間味を感じられた。
薬草風呂の文化もある。よもぎなど、2~30種以上のハーブをブレンドした薬草風呂は、リウマチ改善などの効果が期待できるようだ。村には、赤ザオ族の組合が協力している、薬草風呂を体験できる施設があり、私たちも入浴してみることに。
色は赤茶~紫に見える、不思議な色。手に救って鼻に近づけると、“かすかに土のような香りを感じるような”程度で、正直、目立った特徴はなかった。
文=CREA編集部
