王室ゆかりの国鉄駅や宮殿、山頂の古寺院、象の保護施設など、都会の喧騒の届かないホアヒンには、少しスローな時間が流れている。
リゾートだけでないホアヒンの魅力を、4回に渡りご紹介。ぜひお見逃しなく!
アクティビティを通して象が教えてくれること
◆Hutsadin Elephant Foundation(ハッサディン・エレファント・ファンデーション)

タイのシンボルともいえる動物、象。古くは戦時の乗り物であり、仏教徒にとっての信仰の対象でもあり、一方で木材の切り出しなどの林業や観光業で貴重な労働力でもあった象は、タイの人々にとって今も昔もなくてはならない存在だ。
しかし、大切な象も近年その数は激減。約120年前には少なくとも10万頭がいたというが、今では国立公園内に野生の象が3,200〜3,500頭、飼育象が約3千頭程度とされ、様々な保護活動や環境保全が進められている。その一つが、高齢や病気などで働けなくなり放棄された象を保護するハッサディン・エレファント・ファンデーションだ。

最高齢77歳のブーン・ミー、「ハチミツのように甘い」という名の雌象ブン・ワーンなど、ここでは5頭の象がマフーと呼ばれる象使いたちと暮らしている。主に寄付によって運営されているが、シャワーの手伝いや象との散歩などのアクティビティも用意されており、その収益も象たちのために役立てられる。

「この財団の目的は、彼らにストレスなく安心して過ごせる日々を与えること。ツーリストの皆さんにも、象たちとのささやかなコミュニケーションを通してその意義を理解し、私たちの保護活動を支援していただきたいのです」
そう語るスタッフのナンさん。使役から解放され、のどかな表情で日々を過ごす象たちの姿から私たちが学ぶべきことは、きっと少なくない。

Hutsadin Elephant Foundation(ハッサディン・エレファント・ファンデーション)
所在地 176 M7 Nongplub Rd., Hua Hin,Prachuap Khiri Khan
電話番号 032 827 098/100
営業時間 9:00~16:00
定休日 無休
https://www.hutsadin.org/
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Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2023.05.16(火)
文=張替裕子(ジラフ)
撮影=橋本 篤
コーディネート=長屋良典(T-Live)
CREA Traveller 2023 vol.2
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。