「このセリフ言えないんだけど」と言う役者が許せない
――キャストの方々もかなり豪華ですね。役所さんにこんなことまでさせるのかという驚きがありました。
宮藤 俳優のめんどくさい精神構造みたいなものって、本当に面倒な人ほど自分自身では気づかないじゃないですか。でも、役所さんは気づいている人のような気がしていたんですよね。だから図々しくいけるんじゃないかって勝手に思って、遠慮せずに書きました。
よく言われますけど、男性の俳優さんのほうが細かいこと気にするというか。やっぱりなんだかんだいって「俺、どう?」っていう人が多い。それこそ「俺のことなんか言ってた?」って人ばっかりなんで。
磯山 そうじゃないとやっていけないですよね、俳優って。
宮藤 役所さんはご自身で俺もそういうタイプだよっておっしゃっていましたけど、そんなことないですよね。
磯山 役者という生きものをすごく冷静に観察されている方ですよね。自分がみっともなくて笑われても全然気にしないというか。とにかくかっこよかったですね。
劇中、役所さんが濵田(雅功)さん演じる壬生大也に、「自我を捨てて役を生きる、立てと言われたら立つ、叫べと言われたら叫ぶ理由を考える、それが役者!」って、役者論をぶつけるシーンがあるんですが、他の番組を担当しているときに、このセリフを思い出して今、言いたい! って思いましたもん。真理をついてますよね。みんなに観て欲しい。
――宮藤さんはラジオでも「このセリフ言えないんだけど」と言う役者が許せないって、おっしゃってましたね。
宮藤 本当に多いんですよ。僕は自分で脚本を書いているから、役者仕事のときには絶対そんなことは言わないんですが。
磯山 脚本の設定がおかしい場合はもちろんこちらのミスですが、「この人はここで叫ぶような性格じゃないと思う」とか言われちゃうと、それは解釈次第では? って言いたくなっちゃいます。
宮藤 「この距離ではこの声では言わない」とか言ってくる方もいますよね。でも、実際には指摘なんてできないので、こちらの思いを役所さんに言ってもらったというか。劇中では、役所さん演じる高瀬川はみんなに忘れられているから、誰にも響かないんですが、観ている人たちには響く。我ながらうまい設定を考えたな、って思いました。
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宮藤官九郎(くどう・かんくろう)
1970年、宮城県出身。1991年より大人計画に参加。脚本家として映画『GO』で第25回日本アカデミー賞最優秀脚本賞他多数の脚本賞を受賞。以降もテレビドラマ『木更津キャッツアイ』『あまちゃん』『いだてん~東京オリムピック噺~』『不適切にもほどがある!』など話題作の脚本を手掛ける。また、俳優として映画『時には懺悔を』『ルックバック』等に出演する他、TBSラジオ「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」ではラジオパーソナリティを務めるなど、幅広く活動する。
磯山晶(いそやま・あき)
東京都出身。プロデューサー。上智大学卒業後、TBSに入社。『池袋ウエストゲートパーク』『木更津キャッツアイ』『タイガー&ドラゴン』『俺の家の話』『不適切にもほどがある!』などをプロデュース。2024年に株式会社a.iを設立し、Netflixと5年間の契約を締結。『俺のこと、なんか言ってた?』では企画・プロデュースを手掛ける。
Netflixシリーズ『俺のこと、なんか言ってた?』
出演:役所広司、賀来賢⼈、松⼭ケンイチ、江⼝のりこ、河合優実、濵⽥雅功、磯村勇⽃、坂井真紀、吉⽥ ⽺ほか
脚本:宮藤官九郎
企画・プロデューサー:磯山晶
Netflixシリーズ『俺のこと、なんか言ってた?」独占配信中

俺のこと、なんか言ってた?
『俺のこと、なんか言ってた?』全8話と劇中劇「誰も知らない大物俳優」を収録する完全版シナリオブック! 宮藤官九郎×磯山晶、語り下ろし対談完全版も特別収録。
定価 2,805円(税込)
河出書房新社
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