百年レシピで作られるワンタン、そして辛味噌も美味
ワンタンはお話のとおりたっぷりと大きく、三角に具をはさんで、両端を前でくっつけるスタイル。丸々として、水餃子のようだが、皮が麺に近いからこれはれっきとしたワンタンなのだそうだ。ワンタンの醍醐味、ひらひら部分もちゃんとあってうれしくなった。
そして、あんの多いこと! 肉&えびのミンチがみっちりと詰まっていて、しかもしっとりと皮となじんでいる。とても中国っぽいなぁと思ったのは、スープにもあんにもザーサイが入っていること。きちんと塩抜きしたザーサイはコリコリとしていて食感のポイントになりつつ、旨みのもとにもなる。もちろんあんの中のほうは小さく刻まれていて、スープのは細切り。これがとっても効いていた。
ワンタンの皮は麺と一緒のときは極薄でヒラヒラゆらゆらしているのがいい。しかし、こちらの上海系主食ワンタンはヒラヒラはしているけれどもっちもちで、幅の広~い麺くらいの印象がある。おじいさん・おばあさんの味を再現すべく、製麺所に注文して作っているスペシャルな皮だそうだ。
最初の口上のときに推されていたのが「辛味噌」。途中で飽きたらスープに溶き入れてもいいし、ワンタンに直接つけて食べてもいいというお話。この味噌が、辛いのは辛いのだけれど、乾物海産物系の旨みが詰まっていて、とっても美味しい。「卵かけごはんにも合うんです」という話が脳裏に蘇り、はっと気づいたら卵かけごはんを追加注文していた。具入りラー油ともまた違う爽快な辛さ。ワンタンにちょっとつけたり、たくさんつけたり、卵かけごはんでもすっかり堪能。私の専門分野、ごはんとの相性を確認できたのは有意義だった。
100年前のオールド上海スタイルを謳うこのワンタン。ワンタン麺とはまったく違うアプローチに胸を打たれ、既に再訪を誓っている。皮の味をダイレクトに食べてみたいから、今度は「つけワンタン」を試してみよう。あ、ベジワンタンも食べてみたいし、すっかり辛味噌もクセになっているしなぁ。青島ビールに合わせるいろんなおつまみも今度は試したい。と、用途も幅広いお店である。
中目黒の裏路地で心をわしづかみにしてくる専門店。そして、次はどんなお店と出会うのか楽しみだ。
百年ワンタン
所在地 東京都目黒区東山1-8-6 サンロイヤル東山1階
電話番号 03-6412-7900
北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」
Column
北條芽以のLOVEレストラン
美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!
2014.08.16(土)
文・撮影=北條芽以