鈴木保奈美との“対決”で生まれた、感情の化学反応とは
――鈴木保奈美さんとの対峙シーンも大きな見どころです。
保奈美さんとご一緒するのは、実は2回目なんです。1回目の時はご一緒のシーンはそれほど多くなかったのですが、今回はがっぷり四つに組んでお芝居をさせていただけたので、とてもうれしかったです。
菊乃はセリフの最後に「……」と脚本に書かれている箇所がすごくたくさんありました。記者という職業柄、相手の行動や言葉の意味を脳内で反芻して考えているからだと思うのですが、保奈美さんとのかけあいで、どんどんその「……」が変わっていくのが驚きでした。
とくに保奈美さんが演じた神林晴海と菊乃との対決シーンでは、それを大きく感じました。対決は、ラウンド1、ラウンド2、ラウンド3と3シーンあります。台本を読んで想像していたものとは違う反応が保奈美さんから返ってくると、そこから菊乃である私にも新しい感情が生まれる。化学反応のようで、楽しかったです。
――鈴木保奈美さん演じる神林晴海と菊乃は対照的な役柄でしたね。
はい。私が演じた菊乃は、受験生の子どもを育てるシングルマザーですが、晴海は結婚経験がなく、両親が残した実家で一人暮らしをしている女性。役柄としては真逆の立場です。
ただ実際はその逆で、保奈美さんはご結婚の経験もありお子さんもいらっしゃる。一方で私は結婚も子育ても経験がないので、現実と役柄がちょうど反対の関係になっていました。見えている景色や感じ方の違いが面白く、そのギャップが二人の関係性にも自然に表れていたと感じます。
――タイトルの『対決』には、どんな意味が込められているのでしょうか。
この作品の中で描かれている対決は、単に人物同士が対立するという意味だけではなく、理不尽な社会と向き合うことや、自分自身の迷いや弱さと戦うことも意味しています。
誰かが正しくて誰かが間違っている、という構図でもなく、それぞれが自分なりの正しさを抱えてぶつかり合っている。そこがすごくリアルに描かれているドラマだと思います。
――この作品を通して、ご自身の考え方は変わったと感じますか?
私はどちらかというと、物事を白黒はっきりさせたいタイプでした。でもこの作品に出演したことで、白黒つけることが正しかったのかどうかを考えるようになりました。
白黒をつけることで解決できることもあるとは思いますが、それでみんなが幸せになるとは限りません。今は、時と場合によってはグレーのままでもいいんじゃないか、と少しゆるやかに考えられるようになりました。
