CREA2026年春号の「美容は、楽しい? 美容は、苦しい?」特集が、現在好評発売中! CREA WEBではその一部を抜粋してご紹介します。
なぜ私たちは、これほどまでに美容に心をかき乱され、救われるのか。美容の世界を長年見つめてきた齋藤薫さんが、その業と光が入り交じる「美容のパラドックス」を紐解きます。(全2回の2回目/最初から読む)
美容ほど人としてのバランスを崩しやすいものはない?
美容はある意味、非常に危うい。なぜなら人としてのバランスを崩させる最たるものだから。とりわけ若さへの執着は危険。
美容整形の一線を超える人々が登場する唯川恵の小説『テティスの逆鱗』が描いたのは、やればやるほどやりたくなる、いかにも普通の人がそうと知りつつハマる罠。夢の追求だけに誰もそれを止められない。願望のエスカレートだからなおさら怖いのだ。
その究極の末路が美容ホラー『サブスタンス』で露骨に描かれ、ホラーとしてはかつてない評価を受けた。人は皆どこかで恐れているのだ、度を超す美容が。そうなる未来が。
『サブスタンス』
50歳を迎えた元人気女優のエリザベスが、容姿の衰えによって仕事が減っていくことを気に病み、禁断のアンチエイジング薬「サブスタンス」に手を出して――。
アザ隠しの実力こそ、究極のメイク効果、資生堂ライフクオリティーメイクアップ70年の歴史
ある意味メイクは、人類の叡智がもたらした一つの科学。それを改めて象徴するのがアザ隠しの技術、未だ戦争の傷跡が残る70年前にケロイドを消すべく生まれた資生堂のカバーメイクシリーズ「資生堂スポッツカバー」だった。
これが誕生の時から驚くほど先進的で、膜の厚みで覆うのではない、色のメカニズムを踏まえたカバー技術は現代にも通用するもの。なぜこの時代にこんな凄いものが作れたのか、人の苦しみを和らげるためのメイクには何か神の采配までが感じ取れるのだ。このカバー力に心を癒され救われた人がどれだけいたことか。
その後も黙々と進化を重ねたアザ隠しは資生堂の実力と良心の証。美容が人を救うものである事実も私たちは知っておくべきなのだ。
CREA 2026年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
