マネー・エッセイ『貯蓄が苦手な人ほど読んでほしいお金の第一歩 お金まわりを見直したら人生が変わった』を上梓した青木さやかさん。お金まわりを見直したことは、これまで見ないふりをしてきた人生そのものと向き合う作業だったと言います。
お金の先にある青木さんの人生について語っていただきました。
40代でパニック症や肺がん(肺腺癌)と診断……
――青木さんのご両親は、お金の使い方が正反対だったそうですね。
父は67歳、母は70歳で亡くなりましたが、母はしっかり貯める人で、父は使う人でした。残念ながら、私は圧倒的に父に似ています。
両親は私が高校生の時に離婚しています。両親とも公務員を定年まで勤め上げ、生涯収入はほぼ同額だったはずですが、父は最期、古くて狭いアパートに住んでいました。いわゆる趣味人で亡くなった時、貯金がわずか4,000円でした。それでも、母よりも人生を楽しんでいるように見えました。
一方、母は堅実で、私と弟にマンションの頭金を超えるお金と株を残してくれました。
母と父、どちらが良いか悪いかの問題ではありません。ただ、自分が父に似ていると気づいたときに、「このままの生き方で、もし長く生きたらどうなるんだろう」と、はじめて考えるようになりました。
――40代でパニック症や肺がん(肺腺癌)と診断されたことも書かれていました。
「がん」と診断されたのは2017年です。2社のがん保険に加入していましたが、上皮内がんだったので、1社は保険金がおりませんでした。
当時は家賃が24万円の賃貸に住んでいたのですが、私はフリーランスの個人事業主です。仕事ができなければ収入がゼロになるので、賃貸ではなく、身の丈にあったマンションを買おう、とこの時決意しました。
――病気を経験して、働き方や生き方への意識は変わりましたか。
病気になって思ったのは、「ここで人生が終わるわけじゃない」ということでした。そう考えたら、これからも生きていく前提で、ちゃんと生活を続けていかなきゃいけない。その覚悟みたいなものは、あの時に感じた気がします。
――お子さんもまだ小さく、不安も大きかったと思います。不安に押しつぶされないために、どのようなことを意識されたのでしょうか。
私は、まだ起きてもいない未来を、不安で失ってしまうのが嫌なので、日頃から「不安を持たないように頑張る」というのを、人生のテーマに掲げています。
ですから、がんと診断された時は、病気そのものよりも、「明日どうなるかわからない」という不安に押しつぶされないよう、意識しました。
一度がんになると、「再発するかもしれない」という不安はどうしても出てきます。でも、決まってもいない未来に怯えながら生きるのは嫌なので、なるべく目の前の自分ができることに集中するようにしています。
もちろん、不安をゼロにすることはできませんが、不安に支配されない努力はできます。お金を見直したことも不安をなくせる一つですね。










