『沈黙の艦隊』シリーズの劇場版第2作、『沈黙の艦隊 北極海大海戦』が9月26日に公開された。対談連載「有働由美子のマイフェアパーソン」から、同作で主演・プロデューサーを務める俳優・大沢たかおさんが登場した回を一部紹介します(2023年10月号)。
『沈黙の艦隊』実写化の理由
有働 映画『沈黙の艦隊』では、主演だけでなく、プロデューサーにも名を連ねておられることにびっくりしました。

大沢 クレジットの有無はどちらでもよかったんですけどね。僕がプロデューサーと話をしたことがきっかけで『沈黙の艦隊』の制作がスタートしたんで、最初に手を挙げた以上は責任があると思いました。
有働 大沢さん演じる主人公・海江田四郎は、日米政府が開発した世界最新鋭の原子力潜水艦・シーバットの艦長ですよね。海江田率いる核ミサイルを搭載した潜水艦が、突如反乱を起こして、各国が対応を迫られるストーリー。原作のマンガが連載されたのは1988〜96年で、私も当時読みましたが、正直言って表面的な理解しかできなくて。でも、今回の映画は、ロシアのウクライナ侵攻が起きて、台湾有事も懸念される中なので、すごくタイムリーに感じられました。
大沢 企画段階ではウクライナ侵攻は起きていなかったですが、中国と台湾の緊張関係はありました。そして日米安保の問題は、長年、皆が見て見ぬふりをしてきた。

有働 おっしゃるとおりです。
大沢 でもこの先、蓋をしていられない時が来るだろうという思いがあったんです。その思いで作り出したら、奇しくもウクライナ侵攻のタイミングが重なりました。見えない何かに「やれ」と言われているのかなと感じたくらいです。
2025.10.06(月)
文=大沢たかお、有働由美子