島を愛しリゾートを支えるスペシャリストたち

2020年のリブランドを経て、「リゾナーレ小浜島」は大きく姿を変えました。客室数をあえて絞り込み、広大な敷地のスケール感を残しつつも、プライベート性を高めたレイアウトへ。滞在の中心にはビーチでの体験が据えられ、海とともに過ごす時間そのものがリゾートの価値となっています。

その楽園のような景観や、何もしない時間の心地よさは、島の自然環境を知り尽くし、遊び心をもって仕事に向き合うスペシャリストの力があってこそ。ここでは施設管理のセクションから、植栽を手掛ける大久(だいく)喜一郎さんと、さまざまな設備づくりを担う富永五男さんに、リゾートの魅力づくりについて聞きました。
――大久さんはいつごろからこのリゾートに?
大久 私は小浜島の生まれです。島の外で働いた時期もありましたが、島に戻った25歳のとき、2000年にリゾートの開発が始まり、造園部門に誘われて働くことになりました。小高い山を切り拓くことから始まり、どの植物を残し、どんな植物を植えるかという景観づくりに初期の段階から関わらせてもらいました。

――ほぼ生き字引きのような存在ですね。オープン当初と比べて、施設の植栽はどのように変わってきたのでしょう。
大久 かつては前オーナーの意向もあり、もっとジャングル感が強かったですね。ただ、あまり木が高く生い茂ると海の景観を遮ってしまったり、建物が傷む原因にもなる。リブランド以降は、そのあたりの改善を進めてきました。



――ビーチへ向かう小道では、ハイビスカスやブーゲンビリアなど南国らしい花が群生していて、目を奪われました。
大久 そう言ってもらえると嬉しいです。海に近づくほどにワクワク感が高まっていくような植栽を目指しているので。ただ、ゲストの皆さんが思う“らしさ”と、島の人間が思うそれとは、少し違う部分もあるかも知れません。
――大久さんが思う“小浜島らしい”植物って何ですか?
大久 代表的なのは、島に自生しているクバ(檳榔/ビロウ)ですね。ヤシの一種で、伝統的なクバ笠やクバ扇などの材料になります。目立たないので分かりづらいんですが、リゾート内にもありますよ。もっと増やしたいなと思って、こっそり育てています(笑)。


2025.10.04(土)
文= 伊藤由起
写真=志水 隆
写真協力=リゾナーレ小浜島