『仮面ライダーゼロワン』の変身シーンを今も夢に見る
何をするにも、感覚ではなく理論的に理解したいタイプ。連載を始めるにあたり、まずはネットで構図の解説書を購入したという。
「被写体を真ん中より少しずらして配置すると、見る人にどういう印象を与えるか、みたいなことから勉強しました。基本的には、なんとなくやるより、理屈を理解したいほうなんです。でも演技だけは唯一の例外かもしれません。竹内涼真さんに薦めていただいて『イヴァナ・チャバックの演技術』という、有名な本を読んだのですが、ちょっと僕には難しくて……」

イヴァナ・チャバックは、俳優自身の経験や心理から役柄を組み立てる手法で知られる、ハリウッドのカリスマ演劇コーチだ。高橋は決まり悪そうに笑った後、「でも、俳優としての心構えはチャバックから学びました」と真剣な表情で付け加える。
もともとは料理人を目指し、調理師免許を取得するほど料理好きだった高橋。もともと俳優という道はまったく想定していなかったというが、縁あって芸能の世界に足を踏み入れた。“人生の転機”と聞かれれば、いつもこの頃のことを思い出すという。

「(初主演作の)『仮面ライダーゼロワン』の一話の変身シーンを、今も夢に見るんです。放送が始まっていろんな反響が届いて、街で子どもに声かけられるようになって。今思えばあの時に俳優として生きていきたいという覚悟が決まったかなと思います。
2025.09.30(火)
文=大西展子、「週刊文春WOMAN」編集部