【あの1杯】韓国で撮影後に、みんなで飲んだ缶ビール
そして忘れられない「1杯」について、「最近の出来事でもいいですか?」と少し間を置いてから、海外で過ごした仕事仲間たちとのひとときについて話してくれた。
「最近まで韓国に滞在していて、現地の俳優やスタッフの方々と食事に行く機会があったんです。韓国ではコンビニの横にベンチがあって、食事などを終えた帰り道にそこで一杯飲む文化があるみたいで。僕がキリンのCMをやらせていただいていることから、スタッフのみなさんが『一番搾り』のビールを買ってきてくださったんです。みんなで日本のビールを韓国のコンビニの隣のベンチで飲む、その1杯がとてつもなく美味しかったです」

岡田さんはDisney+オリジナルの韓国ドラマ『殺し屋たちの店』シーズン2に出演が決定している。現地で撮影が続くなか、韓国の俳優やスタッフたちが自分を理解しようと心を砕いてくれる姿が、とても胸に響いたという。
「僕がCM出演していることへの気遣いもあると思いますが、それ以上にみなさんが僕を知ろうとしてくれている気持ちや、日本に寄せてくださった思いを感じました。ちょうど韓国での撮影に馴染んできた時期だったこともあって、そこでみなさんと過ごした時間そのものが嬉しくて。そのなかで飲むキリンのビールが本当に美味しかった。これからもずっと覚えているだろうなと思うほど、素敵な時間でした」
夜風の吹くベンチで、缶ビールを手に笑い合う時間は、言葉や文化の壁を超えて、確かな絆へとつながっていく。それが岡田さんにとって何よりのごちそうになったのは、そこにいた人たちの温かい思いがそこに注がれていたからだろう。
岡田さんにとっての特別なひとときは、日常の延長にあるあたたかな記憶たちだ。サマソニの熱狂の中で聴いた「Creep」、韓国のコンビニ横のベンチで味わった「一番搾り」。いずれも環境や人とのつながりがあってこそ忘れられないものになったとわかる。俳優として多忙な日々を送る岡田さんが大切にしているのは、肩書きや成功を超えた“素の瞬間”。そうしたシーンのひとつひとつが、今日も彼の感性を支えている。
岡田将生(おかだ・まさき)
1989年生まれ。東京都出身。2006年にデビュー。『ドライブ・マイ・カー』(2021年、濱口竜介監督)、『1秒先の彼』(2023年、山下敦弘監督)、『ゆとりですがなにか インターナショナル』(2023年、水田伸生監督)、『ゴールド・ボーイ』(2024年、金子修介監督)、『ラストマイル』(2024年、塚原あゆ子監督)、『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(2024年、上田慎一郎監督)、『ゆきてかへらぬ』(2025年、根岸吉太郎監督)などに出演。今後は細田守監督最新作『果てしなきスカーレット』が2025年11月21日に公開予定、Disney+オリジナルの初主演となる韓国製作ドラマ「殺し屋たちの店」シーズン2の配信を控える。
『アフター・ザ・クエイク』
2025年10月3日(金)テアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国公開
監督:井上剛
脚本:大江崇允
出演:岡田将生 鳴海唯 渡辺大知 / 佐藤浩市 橋本愛 唐田えりか 吹越満 黒崎煌代 黒川想矢 津田寛治 井川遥 渋川清彦 のん 錦戸亮 / 堤真一
配給・宣伝:ビターズ・エンド
©2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
https://www.bitters.co.jp/ATQ/

Column
気になる人のあの本、あの曲、あの味
俳優、ミュージシャン、クリエイター、作家……いまをときめく方々に「日々自分らしくあるために」大切に読んでいるもの、聴いているもの、飲み、食べているものを、思い出とともに伺います。
2025.10.03(金)
文=あつた美希
ヘアメイク=磯野亜加梨
スタイリスト=大石裕介