豪華キャストが勢揃いした記者会見の様子

9月2日のソウルのフォーシーズンズホテルでの記者会見には、前述の4人に加え、ムンジュの夫チャン・ジュニク役のパク・へジュン(「おつかれさま」、「夫婦の世界」)、国家情報院長役のユ・ジェミョン(「梨泰院クラス」、映画『孤独のグルメ』)、ムンジュの長年の補佐官ヨ・ミジ役のイ・サンヒ(「未成年裁判」)、警護室長パク・チャンヒ役のチュ・ジョンヒョク(「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」)、そして韓国大統領役のキム・ヘスク(「あやしい彼女」)と、豪華キャストが勢揃い。
会見でカン・ドンウォンは背中に大きなリボンがついたディオールのジャケットを着て登場し、なんだか天使モード。さらに合間合間でチョン・ジヒョンに話しかける姿は、しっかり者の姉に甘える弟らしさ全開。チョン・ジヒョンはウェストがチラ見えするスーツ姿で、こちらはカッコよさ全開だ。

実は今回、カン・ドンウォンはエグゼクティブ・プロデューサーとしても名を連ねている。キム・ヒウォン監督によれば「ドンウォンさんは英語が得意なので、外国人俳優のキャスティングの手助けをしてくれましたし、通訳もしてくださいました」と全面的に頼っていたと語った。ドンウォンも、「僕がしたのは食事の世話だけですよ。俳優さんたちが気持ちよく仕事ができるように、おいしいものをたくさんご馳走しました」と明かした。
また女性であるキム監督は、脚本家も女性のチョン・ソギョンさんと組むのなら、「パワフルな女性が登場する作品を作りたい。それを演じるのはチョン・ジヒョンしかいない、と思いました。韓国の監督の多くが同じことを考えているんです。長い間キャスティング・リストの1位は常にチョン・ジヒョンさんなんです。無理でも、一度お尋ねしてみようと連絡してみたところすぐに『一度会いましょう』とお返事をくださり、うれしかったです」と念願のキャスティングが成功した喜びを語った。

共同演出のホ・ミョンヘン監督は、「彼は手足がすごく長いので、同じ動きをしても、他の俳優では表現できないかっこよさがある。ドラマを観れば、私の言っている意味がわかると思います」とドンウォンを絶賛。ちなみにドンウォンもチョン・ジヒョンも長身なので、セットの天井を通常より高くしたという。
またユ・ジェミョンは映画『別れる決心』などパク・チャヌク監督作品で知られるチョン・ソギョンによる脚本の素晴らしさを、「台本をもらった時、これはシェイクスピアだと興奮しました」と絶賛。実は『北極星』の英題は、TEMPEST。シェイクスピアの「テンペスト」と同じ。さすが舞台出身らしい、粋な答えだった。

まだ前半しか観られていないが、実際、意表を突く展開に驚かされる。『別れる決心』に通じる、不思議なねじれがあるのだ。3話に出てくる列車のシーンがわかりやすいが、座席から爆発物を取り外そうとする姿がムンジュとサンホのラブシーンのようで、かなりセクシーな場面になっている。
2025.09.23(火)
文・写真=石津文子