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 韓国が誇るトップスター、チョン・ジヒョンとカン・ドンウォンの初共演が話題のドラマ「北極星」。大統領候補とボディガードの大人の恋と、政治的陰謀が絡むスリリングな展開で早くも人気となっている。前回のインタビューのつづきに加え、記者会見と、ファン・ショーケースと題されたイベントの模様をお届けしよう。

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脇を固める豪華キャストたちも必見

 超大作である「北極星」は脇を固めるキャストも豪華。その中でも、重要な役割を果たすのが、主人公ムンジュ(チョン・ジヒョン)の義母で海運会社会長イム・オクソン役のイ・ミスクと、その次男で検事チャン・ジュンサンを演じるオ・ジョンセのベテラン二人だ。

 芸歴46年のイ・ミスクは最近も「涙の女王」など多くのドラマ、映画に出ているが、日本における韓国映画ブームの元祖ともいうべき名作『桑の葉』(1985)のヒロイン役で有名なベテラン女優であり、65歳の現在も艶めかしく、迫力もたっぷり。オクソンが大統領を一族から輩出することに執念を燃やす姿は、どこかアメリカのケネディ家を思わせる。

 「やっぱり政治的な要素がこのドラマにあるんですね。ケネディ家を連想するのはよくわかります。大統領を生み出すためのプロジェクトを長年かけて推進してきた一家ですから。ただ、実際には何か海外の政治家や、誰かをモデルにするとか、そういうことはありませんでした。やはり韓国の土壌にあったやり方で大統領を作ろうとしてるわけで、そこには韓国の政治情勢も絡んでいます。ですから、韓国らしさにこだわって表現しようとしました。そして演技はオ・ジョンセさんに教えてもらいましたよ」と、後輩を立てることも忘れない。

 オ・ジョンセは、兄の影に甘んじていたが、自ら大統領選に出ようしてムンジュと対立する義弟ジュンサンを演じる。

「全部、イ・ミスク先輩の言う通りなので、僕は以下同文、でいいですよ(笑)。僕の演じるジュンサンは有能な検事ですが、自分より遥かに優秀な兄にコンプレックスや嫉妬心を持っている人物です。実は僕もケネディ家や、韓国のあの誰かさんがモデルなんじゃないかとか、海外のあの人かな、とか連想したりもしたんですが、振り返ってみれば、やはり全ては脚本家のチョン・ソギョンさんの想像から生まれた人物であり、シチュエーションなんじゃないかなと思います」

 「椿の花咲く頃」のダメ男から「グッドボーイ」の悪役まで、振り幅が広いカメレオン俳優のオ・ジョンセだけに、「もしかして変身したりしますか?」と聞くと「ちょっとだけ、ね」と笑って誤魔化されてしまったが、単なる敵役ではなさそうで後半の展開に期待だ。

2025.09.23(火)
文・写真=石津文子