ムードメーカーとか、できるタイプじゃないので

――奥平さんの現場でのスタンスは、いつもどのような感じなんですか? 変わらない?

 僕はもう、何もしないんです。普通にその場にいます。作品によっては、相手役に親しんだほうがいい役もあると思うんです。例えば、僕と女の子が3年間付き合っている設定だったりすると、付き合っている女の子を演じる俳優さんとは多少コミュニケーションがあったほうがいいかもしれないんですけど……でも、そういうときでも、僕は無理に話しかけたり、距離を詰めることはしないかもしれません。ムードメーカーとか、できるタイプじゃないので(笑)。

――最後に。2023年にインタビューした際には「できることなら、(俳優業を)ずっと続けたいです! それが叶ったらめちゃくちゃ幸せですね」とお話されていました。2年経った今、心境の変化はありましたか?

 わあ、そんなお話していましたかね!? ずっと続けられたら、もちろん幸せなことだと思う気持ちは今もあります。一方で、ずっと続けているのかはわからないなあとも思います。それは決してマイナスな意味で言っているんじゃないですよ……! これから自分がどう思うかがわからないですし、この2年間でいろいろな人とも会いましたし、新しく興味を持つこともありました。今もやりたいことがたくさんありますし、人生一度きりなんで。

 ちょうど先日、インスタにも書いたんですけど、いろいろなところに旅してみたいなと思っているんです。小さい頃から親父がバックパッカーをやっていたので、その話を聞いていて、すごく興味が湧いて。この業界はというか、あくまでも“僕の周りは“なのかもしれないけど、小さいコミュニティだなと思うときもあるんです。自分の知り合いは大体知り合いだし、自分の知り合いの知り合いは僕も知ってる人だし、みたいな。別にそれが悪いことだとは思わないですけど、ちょっと外に出て、まったく知らない人たち、普通にこのまま生きていたら関わらなかったであろう人たちと出会うのも、すごく面白いだろうなと感じるんです。

 そういう意味では、完全にプライベートな旅でなくても、いろいろなところに行ってみて感じてみたいです。……僕、2年で変わりましたね(笑)?

――変わりましたね! 周りも社会人になる年齢だったりするので、それもありますか?

 それは大きいかもしれないですね。周りを見たり、話を聞いていると、いろいろな人生がある気がするので。僕も、もうちょっと違う人生も歩んでみたいなと思います。また2年後とかに取材していただけたら、そのときには「やっぱり役者が一番です!!」と言っているかもしれないですよね(笑)。

奥平大兼(おくだいら・だいけん)

2003年9月20日生まれ。東京都出身。20年公開の『MOTHER マザー』で俳優デビューし、同作で「第44回日本アカデミー賞」新人俳優賞、「第63回ブルーリボン賞」新人賞、「第94回キネマ旬報ベスト・テン」新人男優賞などを受賞。23年公開の初主演作『君は放課後インソムニア』などでTAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞。

『雪風 YUKIKAZE』8月15日全国公開

配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/バンダイナムコフィルムワークス

出演:竹野内豊 玉木宏 奥平大兼 ほか

脚本:長谷川康夫 撮影監督:柴主高秀 VFX監督:オダイッセイ 音楽:岩代太郎 監督:山田敏久

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2025.08.11(月)
取材・文=赤山恭子
写真=志水隆
スタイリスト=伊藤省吾(sitor)
ヘア&メイク=速水昭仁(CHUUNi)