「喜八洲総本舗 本店」のみたらし団子

行列ができる商店街のみたらしは、“焦げ”もええように

 香ばしい匂いに食欲をそそられるみたらし団子は、俳句の世界では夏の季語。発祥の地である関西では、夏の風物詩として親しまれています。そのみたらし団子の名店「喜八洲総本舗 本店」が、阪急・十三(じゅうそう)駅西口を出てすぐ、商店街の入口にあります。

 ここは焼き加減が4段階から選べるのが、ほかにないところ。串には、焼き目がつきやすく、たれが絡みやすいよう、あえて俵形にしたという団子が5つ。焼き加減を伝えると、直火で炙り、たれにドボン! とくぐらせて渡してくれます。

 創業者が考案したという独自のたれがまた、昆布文化が根付く大阪らしい。北海道釧路産の昆布で引いたダシをベースに、香川県産のたまり醤油と白ざら糖で味つけし、葛でとろみをつけています。

昭和23年、淡路島伝承の技を受け継ぐ酒饅頭を看板に創業

 初代の中田治吉さんが、発祥の地とされる淡路島の酒饅頭本家からその技を受け継ぎ、この地で甘党の店を構えたのは、1948(昭和23)年のこと。酒麹でふっくら膨らんだ香りのよい酒饅頭は、ほどなく人気を集め、多い時で4万個も売れたといいます。

 それから10年ほどして登場したのが、みたらし団子です。百貨店への出店や、「だんご3兄弟」の大ヒットなどがきっかけとなり、あれよあれよという間に、酒饅頭をしのぐ一番人気に。次第に、“もうちょっと炙って”“コゲ、少なめに”なんて言う常連客が増えてきて、いっそ焼き加減を選べるようにしたら面白いのでは!? と、いまの形にしたそうです。旨みを感じる甘じょっぱいたれと、焼き目の香ばしさをまとったやわらかな団子は、1本では到底終われません。

 店名にある“八洲”は、日本の古い呼び名。初代が「菓子業で日本中の皆さまに喜んでいただこう」と命名しました。現在は、80歳の2代目、中田八朗さんと、3代目となる雄介さんが二人三脚で暖簾を守っています。みたらし団子と酒饅頭の2枚看板をはじめ、花ぼた餅、きんつば、焼きもちなど、気のおけない浅(朝)生菓子を中心に、すべて自社で手がけています。

サイズも味も横綱級!! 取り寄せできる力士最中で夏バテ撃退

 最後にお取り寄せできる和菓子をひとつ。“力士”の名のとおり、9cm×9cmの種に粒あんがぎっしり詰まった総重量140gという超ド級サイズの最中です。食べ切れるのかと不安になりますが、大納言小豆を白ざら糖ですっきりと炊いた粒あんは、風味豊かで甘さ控えめ。意外にもいけてしまいます。きんつばもまたジャンボなサイズ。商店街の名店は庶民の味方なのです。

喜八洲総本舗 本店

所在地 大阪府大阪市淀川区十三本町1-4-2
電話番号 06-6301-0001
営業時間 10:00~20:00
定休日 火曜

2025.07.12(土)
文・写真=#今日のあまいもん