齋藤 起動する力がつくよね。面倒くさがらなくなった。「貯筋」というように、筋肉は歳を取るうえでの必需品だと思う。

きちんとお金を見直さなくちゃって

藤原 私、この歳になってやっと「貯金」=お金も大切だなと思えるようになったわ。

齋藤 私も本当に最近。今までお金に全然興味なかったのにこのままではまずいと思い始めて。

藤原 海や山に別荘を持っているし。

齋藤 東京の家よりも先にね。リゾート志向が強くて。

藤原 もっとちゃんとしておくべきだったな、とちょっと反省してるの。先月、33年間支えてくれたマネージャーが病気で亡くなってしまって。本当を言うと、3年前に事務所を畳んだのは彼女の背中が疲れていることに気づいたのが、きっかけ。病気が発覚したのはその1年半後だったけど、もっと早くに楽させてあげたかったって……。それだけが心残り。今は通帳の管理から何から自力で頑張っているわ。「電子印鑑って何?」というところからのスタートだけどね(苦笑)。薫ちゃんは?

齋藤 私もね、この間10年ぶりくらいに会社の帳簿を見たのだけれど「あらっ」という数字になっていて。30年前からずっと原稿料やヘアメイク料って変わらないじゃない?

藤原 でも物価は上がり続けているから……。

齋藤 昔の感覚でいるとバランスが取れなくなってくる。私はこれまでオーダーに応える形でしか仕事をしてこなくて、自分から発信することは一切やってこなかった。そこはもうたぶん永遠に変わらない。だから依頼が来なくなれば仕事は終わり。だけどね、仕事をやめる時にこそ経済的に惨めにやめたくないっていうのはあるの。そのためにもきちんとお金を見直さなくちゃって。それこそ利殖ってやってる? 資産運用。

藤原 ちゃんとはやってない。

齋藤 今年から始めたの。動かせる資産があるうちにやっておかなきゃと。

藤原 大丈夫? 騙されてない(笑)?

齋藤 ファイナンシャルプランナーに任せつつ、報告を聞いて楽しんでいます。

◆齊藤さんは40代手前、藤原さんは50歳で迎えた2人の「大人婚」、デジタル技術が進化した今の“ナチュラルメイク”に思うこと、朝型のライフスタイル、年齢を重ねたからこそ感じる“知識欲”など、対談全文は『週刊文春WOMAN2025夏号』でお読みいただけます。

齋藤薫

1955年、東京都生まれ。美容ジャーナリスト。婦人画報社に入社し、創刊当時の『25ans』編集部で美容記事を担当する。29歳で退社後、美容ジャーナリスト/エッセイストに。著書に『だから“躾のある人”は美しい』(集英社文庫)など。

藤原美智子

1958年、秋田県生まれ。ビューティ・ライフスタイルデザイナー。美容学校卒業後、松永タカコ氏に師事。独立後、1992年ヘアメイク事務所「ラ・ドンナ」を設立。2008年結婚、下田と東京の2拠点生活を始める。22年ヘア&メイクアップアーティストを引退。新刊に『何歳からでも輝ける秘訣』(主婦の友社)。

文:岩嶋悠里 写真:平松市聖

何歳からでも輝ける秘訣

定価 1,870円(税込)
主婦の友社
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2025.07.04(金)
文=岩嶋悠里 
写真=平松市聖