【相談】人生にハリがなくなってしまった
若い頃は週末に友達と遊び回ったり、旅行に行ったりしていたのに、最近はすぐに疲れてしまって、何をしても楽しくなくなってきました。人生にハリがなく、なんだか寂しいです。(50歳・女性)
「親族」「他人」「過去の自分」とは絶対に比較しないという「比較三原則」の修行をおすすめします。若い頃の自分と比べるのはやめて「今は行動派じゃないけど、そこがいいんじゃない!」と口に出して言ってみてください。そのためには日頃からの「独り言」が大切になってきます。自分と喋ってケンカになることはありませんから。独り言の中に、たまに敬語を交ぜてみるのもいいでしょう。
若い頃だって「つまらないな」と思ったことが何度もあったはず。でも思い出ってやつは何だって美化するんです。「あの頃、本当に楽しかった?」と、自分自身に問いただしてみてください。「今のほうがマシ」ということもたくさん出てくると思いますよ。
【相談】「おばさん」と呼ばれるのが辛い
周りから「おじさん」「おばさん」という言葉が出始めて、正直ショックを受けています。年齢を意識させられる言葉に敏感になってしまっています。こんな小さなことで傷つく自分もなんだか嫌です。(36歳・女性)
それは「自分はおばさんだ」と意識しちゃったからでしょう。僕の場合、幸か不幸か一度も「おじさん」という名称にピンときたことがありませんでした。だから「おじさん、財布落ちましたよ」と声を掛けられても振り返らなかったと思うんです。それ故、ご親切な注意を聞けずにお金を損していたと思います。
本来ならもう「おじいさん」ですが、それにも全然ピンときていません。要するに「アウト老」なんですよね。だから「おばさん」と言われたからと焦ることはありません。自分はおばさんであるという意識をなくしてみましょう。
それに大概、マイナス要素がある言葉には濁点が含まれています。まだ「おばさん」が気になるのであれば、「おはさん」と、濁点を取って考えてみましょう。「おはさん、財布落ちましたよ」なら、振り返ってもいいのでは?
そもそも、ちゃんとした大人は料亭の仲居さんのことを「おねえさん」と呼ぶものです。「おばさん」と呼ぶのは、それしか語彙のない子どもかダメな大人だと思って気にしなくていいと思います。
みうらじゅん
1958年、京都市生まれ。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。以来、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなどとして幅広く活躍。1997年、造語「マイブーム」が新語・流行語大賞授賞語に。
●【Podcast】「代官山ブックトラック」みうらじゅんさんゲスト出演
6月11日(水)20:00~
代官山 蔦屋書店の人文フロア担当、吉見侑悦さんと宮台由美子さんによる大人気Podcast「代官山ブックトラック」(毎週水曜20:00更新)にみうらじゅんさんが登場!
新刊『アウト老のすすめ』(文藝春秋)を上梓し、『CREA』「人生相談」特集では「老いとどう向き合えばいいですか?」というテーマにお答えくださったみうらさん。考えるとつい憂鬱になってしまう加齢をとことん楽しむコツを語ります。
Podcast「代官山ブックトラック」
Apple PodcastsやSpotifyで無料配信中
毎週水曜20:00更新
みうらさんの登場回は6月11日(水)予定

アウト老のすすめ
定価 1,540円(税込)
文藝春秋
自らのことを「大人げないまま高齢者と呼ばれる年齢になった67歳児」だと語るみうらじゅんさんが綴った、人生を面白くするヒントがいっぱいの最新エッセイ集。イラストや写真も多数収録。
続きは「CREA」2025年夏号でお読みいただけます。

2025.06.11(水)
文=臼井良子
写真=末永裕樹
CREA 2025年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。