【相談】体力や外見の衰えが怖い
40歳を過ぎたあたりから、体力や外見の衰えを感じます。以前は楽にできていたジョギングもすぐに疲れてしまい……。顔にシワが増えたり、髪の毛が薄くなったり、どんどん老けていく自分が嫌で仕方ありません。鏡を見るのも怖い。年齢とともに変わる自分とどう向き合えばいいのでしょうか?(44歳・女性)
年齢とともに変わってきた箇所を指差し、声を出して「老いるショック!」と言ってみてください。老いるショックは、あなただけじゃなく、みんなに平等にやってきます。その真理に逆らうことはできません。それに抗って、若づくりを始めるのは、老いるショックの思うツボです。ここは周りと「若見え」を競い合うよりも、ナチュラルにしておくか、わざと老けを盛って「老けづくり」をしてみる。そうすると年齢を聞かれた時に「意外と若いんですね」と言われるかもしれません。
老化はしょうがないことです。しょうがないことには、しょうもないことで対処するのが一番だと僕は思っています。僕もある時、眉間のシワが気になったことがあったのですが、そのシワが「米」という字に見えることに気付いた瞬間、笑えてきました。歳を取ると兎角シリアスになりがちですが、「老化ではなくて進化だ」と思い込み、明るく笑って対処していかれるのがいいと思います。
ジョギングもほどほどに。老いるショッカーになったら、疲れることをする必要はないですから。

【相談】定年後が想定外!
あと2年で定年退職ですが、経済的に仕事を辞めることができません。昔は再雇用といえば、ゆったりした部署に配置してもらえたのに、最近は定年後も同じ業務(しかも給料は下がる!)をこなすことを求められ……。ハードすぎる人生100年時代が不安。(58歳・女性)
僕は一度も就職したことがないので定年退職の不安はよくわかりませんが、その代わり自由業(獣道)はいくつになってもキープオン不安な人生です。そこで、こう考えてみたんです。「安定とは不安定と不安定の間の止まり木」だと。安定って本当に一瞬しか訪れません。
だから、不安を感じた時は「不安タスティック!」と叫んでみる。自分が滑稽に感じてきて、不安な気持ちを少しは散らせるはずです。それでも不安が消えない時は、もう一つ別の不安なことを用意してください。不安の持ちネタを二つ以上抱えていたら、人はだんだん肝が据わってくるものです。
ちなみに人生100年時代というのは、都市伝説です。老後の不安を煽って誰かが儲けようとしているだけなので「そんなキャッチコピーに惑わされるものか!」と、強く思っていてくださいね。
2025.06.11(水)
文=臼井良子
写真=末永裕樹
CREA 2025年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。