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「モファットは綾ちゃんそのものだから」


──エリザベス・モファットを演じることについてはどのように思われましたか?

平野 台本をいただいて一番驚いたのがモファットでした。原作では、モファットは男性なので、オファーをいただいたものの「あれ?チョコレートガールなんて出てきたっけ…?」と原作を急いで読み返してしまったくらいです(笑)。

 舞台化するにあたり、物語のなかで重要な役割を果たすキャラクターに生まれ変わったモファットを自分が演じさせていただくということで、性別が変わり、原作にはない役へのアプローチも必要でしたが、モファットのちょっとズボラな性格や特徴は原作のまま生かされていたので、女性であることの意味や、私なりのモファットを作っていこうと思いました。

──「チョコレートガール」のモファットが歌うチョコレートのCMソングは、ウキウキするような楽しい歌ですね。

平野 ありがとうございます。「チョコレート」と聞いたら誰もがパッと顔を思い浮かべるようなポップアイコンだと思って役作りをしたので、楽曲からもらえるヒントは大きかったです。

──モファットは、チョコレートガールの歌そのままのキャラクターなのですね。

平野 石丸さんからは「モファットは綾ちゃんそのものだから」と言っていただきました。最初に台本を読ませていただいた時に私なりに解釈したモファット像と、石丸さんが求めていたモファット像がとても近かったので、スムーズに進められました。

──ほかの出演者のみなさんも「まさにこの人!」というキャスティングになっています。現場の雰囲気はいかがですか?

平野 今回のカンパニーは、浦嶋りんこさん以外、初めてご一緒する方ばかりで、始まる前は「どんな方々が集まるのだろう」と少し緊張していましたが、あっという間にみなさんと打ち解け、「仲間」になれました。
若い方からベテランの方まで幅広い年齢層のカンパニーですが、波長の合う方々が揃っていて。

 ガツガツしたノリとは少し異なり、「どんな状況下にあっても、前に進もう」と、果敢にチャレンジする姿勢をみんな持っていて、それをさりげなく実現してしまうメンバーばかりです。

 稽古をしながらも、みなさんの持っている良さが自然と出て、すごく素敵に役柄に反映されていると思っています。

2025.05.27(火)
文=相澤洋美
写真=山元茂樹