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“おもしろい”を生み出す百戦錬磨の先輩たち

──竜星さんは2020年の『大地』以来、2度目の三谷作品となります。

 前回はわりと自由度が高かったのですが、今回はすごく丁寧に丁寧に演出をされる印象を受けました。セリフひとつとっても細かく咀嚼をして、誰に向けて言っている言葉なのか、どういう解釈なのかをわかりやすく教えてくださるんです。

 ただ、共演者には“おもしろい”を生み出す人たちがいっぱいいるので、コメディを演じる難しさも感じます。テンポのよさや切り替えの早さなど、テクニックとしての笑いを知っている方が多いから、目の前で見ていると普通に笑ってしまいますし、うますぎて嫌になりますよ(笑)。もちろん学びではありますが、大泉(洋)さんも(高橋)克実さんも山崎(一)さんも、百戦錬磨の方たちなので。

──確かにプレッシャーはありそうです。

 みなさん先輩ではありますが、いい具合にちょっとポンコツだったりもするんです(笑)。克実さんなんて、セリフが出てこなかったときに、まったく違うセリフを勝手に言っていたりして(笑)。

 そうやって遊びのような感覚で生まれたものをブラッシュアップしていくこともあるので、お芝居って本当に自由でいいんだなという感覚にもなれる現場です。すごい先輩たちの引き出しの多さを見せてもらえるのは、舞台のおもしろさだと思います。

竜星 涼(りゅうせい・りょう)

1993年3月24日生まれ、東京都出身。2010年にドラマ『素直になれなくて』で俳優デビュー。2012年『OZ』で初舞台・初主演。その後の主な出演作は連続テレビ小説『ちむどんどん』、大河ドラマ『光る君へ』、ドラマ『スタンドUPスタート』、『潜入兄妹 特殊詐欺匿名捜査官』、映画『ラストマイル』、『ショウタイムセブン』、舞台『劇団☆新感線「修羅天魔~髑髏城の七人Season 極」』、『狐晴明九尾狩』、『大地』、「ガラパコスパコス」など。

『昭和から騒ぎ』

河合祥一郎訳「新訳から騒ぎ」(角川文庫)より
翻案・演出:三谷幸喜
出演:大泉 洋、宮沢りえ、竜星 涼、松本穂香、松島庄汰、峯村リエ、高橋克実、山崎 一
【東京公演】5月25日~6月16日(世田谷パブリックシアター)
【大阪公演】6月20日~23日(SkyシアターMBS)
【福岡公演】6月27日~29日(キャナルシティ劇場)
【札幌公演】7月4日~6日(カナモトホール)
【函館公演】7月9日~10日(函館市民会館)*いずれも当日券あり。

シス・カンパニー

電話番号 03-5423-5906
https://www.siscompany.com/produce/lineup/karasawagi/

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2025.05.27(火)
文=松山 梢
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=oya
スタイリスト=YAMAMOTO TAKASHI (style³)