
破天荒で、熱くて、まっすぐなキャラクターを多く演じてきた竜星涼さんは、どんな役でも魅力的にしてしまうチャーミングな素顔と、一貫したプロ意識の持ち主。これまで挑戦してこなかった「王道のラブストーリー」にも興味が湧き始めたという、30代の変化について聞きました。
どんな役でも、自分が一番に愛してあげないと楽しくない

──話題作への出演が相次いでいますが、いい作品、いい役に出会うために必要なことはなんだと思いますか?
たとえ恵まれたいい環境や現場じゃなかったとしても、自分に求められるものをちゃんと把握して、腐らずに仕事をまっとうすることだと思います。そうすれば見てくれる人はどこかにいるし、もしかしたらその次につながる可能性もあります。
どんな役でも、自分が一番に愛してあげないと楽しくないから。テンションを上げて仕事をするためには環境のせいにせず、自分でおもしろさを見出すことが大事だと思います。主役を演じるときは作品全体のことを考えますが、そうではないときは自由に遊ばせてもらっています(笑)。
──近年は『ちむどんどん』のニーニー役や『光る君へ』の藤原隆家役など、まさに竜星さんの魅力が存分に発揮されたキャラクターが多いですね。
僕が意識しているのは愛嬌やチャーミングさ。どんな悪い役でも、どんな暗い役でも、人間って多面的であるべきだと思うんです。これが人としておもしろい部分じゃないですか。
人は目に見える部分とは違う一面を持ち合わせている。そういう人間らしさを一貫して大切に演じたいと思っています。

──竜星さんが演じてきたような愛嬌やチャーミングさは、どうしたら表現できるのでしょう?
いやあ、どうでしょう(笑)。でも僕、この前プライベートで「あざとい」って言われたんです。男友達や年上の先輩たちからも「かわいいなー」と言われることは多いです。自分では自覚がないんですけど、あまり考えすぎないところがいいのかもしれません。素直に「ご飯行きましょう」とか言えますし。
──ちなみに『光る君へ』の藤原隆家役の反響は大きかったと思います。ご自身でも手応えはありましたか?
それがまったくないんですよ。自分が「おもしろい!」と手応えを持って演じた役はあまり反応がなくて、手応えをあまり感じられなかった役のほうが反響が大きいことがよくあります。
「自分と正反対のキャラクターだな」とか「気持ちがわからないな」と思うときのほうがやっぱり悩むし、もがきます。だからこそいいのかもしれないですね。評価と手応えが一致している人って、実はあまりいないのかもしれません。
2025.05.27(火)
文=松山 梢
写真=佐藤 亘
ヘアメイク=oya
スタイリスト=YAMAMOTO TAKASHI (style³)