「雨竜の滝」にたどりつく
川の水はいよいよ青くなり、「雨竜の滝」にたどりついた。
落差20m。水流の荒々しさから「竜吐水」と呼ばれることもある。かつては容易に近づけず「神秘の滝」と言われたが、遊歩道が整備されてからは観光でも見られるようになった。


町が作成した「中津渓谷MAP」によると、遊歩道入口から「雨竜の滝」までは徒歩約20分。渓谷最大の見どころで、ここで折り返して戻る人が多いようだ。

だが、帰りのコミュニティバスが出るまでには、到着から4時間半もあった。
県庁での取材時、齊藤弓子・地域観光課主幹が「本数が少ないコミュニティバスだと、長い待ち時間が生じることもあります。その分、どっぷり地域に浸かってもらえたらと考えています」と話していたのを思い出した。
目もくらむような谷底
遊歩道は全長1.6km。じっくり歩いて、どっぷり浸かろう。
「雨竜の滝」から少し戻ると、別方向に上がる急な階段があった。息を切らして上流へ向かう。「竜宮渕」と呼ばれるスポットがあった。深い青色の渕に、木綿を流したような滝が注ぐ。矢印で眺望点とされた場所には、手すりなど何もなく、はるか眼下に渕が見えた。その緊張感も含めて見応えがある。
そこから15分ほど歩くと「石柱」に至る。遊歩道の行き止まりだ。

深く穿たれた細い谷の下を中津川が流れていた。川底には高さ約20mの柱状の石が立っていて、「約6万年前からの水の浸食によりできたと言われる」と看板に書いてあった。
谷には木製の橋が架けてあり、橋上からだと目もくらむような谷底に石柱が見える。

2025.05.22(木)
文=葉上太郎