彼らの中には、残念ながら差別主義者や科学否定論者、陰謀論者が多数含まれている。こうした問題ある人々があまりにも目立ち過ぎているため、主流メディアや主要なエリートたちはそこに気を取られ過ぎている。このタイプの新しいエリートたちは、いまはインフルエンサーと呼ばれ、ネットで極論を撒き散らし、アテンションを集めるだけの危険人物だと考えられている。

 しかし彼らの主張は、政治的にも社会的にも過小評価されすぎている。彼らの言葉を文字通り受け取る必要はないが、それを真剣に考える必要がある。カウンターエリートは、様々な局面で「何かが間違っている」と主張しており、その議論に影響を受けている人は急速に増えている。そしてその主張は、社会で急速に影響力を持ちはじめている。彼らの言論は、今やオンラインのサブカルチャーではなく、主流の政治やメディアを揺るがせている。

 彼らは何者であり、なぜ誕生したのだろうか。そして、カウンターエリートが台頭する社会は、どこに向かっていくのだろうか。


「はじめに」より

カウンターエリート(文春新書 1492)

定価 1,188円(税込)
文藝春秋
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2025.05.14(水)