この記事の連載
映画『かくかくしかじか』インタビュー【前篇】
映画『かくかくしかじか』インタビュー【後篇】
「2.5次元舞台のパワーに圧倒されて進路を決めました」

――見上さんは、もともとは舞台の裏方志望だったとのことですが、どのような心境の変化があり、俳優になられたのでしょうか?
中学2年生の頃に、2.5次元の舞台を初めて観て、そこからぐぐっと観劇にハマりました。内容はもちろん、観客の方々が多幸感にあふれている様子にすっかり圧倒されてしまって。本当に衝撃を受けました。
その体験をきっかけに「絶対に舞台に関わる仕事がしたい! 将来は演出家になりたい!」と、進路を決めたんです。両親も舞台が好きだったので、一緒にミュージカルから小劇場の舞台など本当にたくさん観劇しました。
特に心境の変化があったから、俳優として表に立たせてもらえるようになったわけではありません。今では、この仕事にやりがいを感じていますし、もっと演技が上手になりたいと努力していますが、俳優を強く志したことはないんです。
夢だった演出家の道を歩んでいるつもりが、色々とご縁をいただいて俳優をやらせていただくことに。運とタイミングがよかったんだと思います。流れに身を任せた結果です。
――今後、演出家もやってみたいお気持ちはありますか?
いえいえ。俳優のお仕事をさせてもらえたことで、才能にあふれる演出家の方々の仕事ぶりをたくさん拝見してきたので、私にはとうてい出来ることではないと確信しました。生半可な気持ちでは取り組めない仕事だと思います。だからこそ、同じ夢に向かって一緒に学んでいた大学の同級生が活躍しているのを見ると嬉しくなります。
「もし自分の自伝的物語を作るとしたら、両親の出会いから描きます」

――本作は東村アキコさんの自伝的物語の映画化です。今、見上さんが自分の人生を振り返って映画を作るとしたら、どんな人物を登場させますか?
登場させたい人、たくさんいます! 多くいすぎて脚本を書くのが大変そう。本作は東村さんと先生の9年間の絆を描いた物語ですが、私だったら自分が生まれる前のストーリーに興味があります。
物心がついてからの自分はたいてい知っているから、両親の出会ったきっかけなどを取材して物語を作りたい。自分が知らないこと、覚えていないことを描くのも、面白いかなって。
》「先生の教えを守って、1日16時間ほど勉強しました」見上愛が“夢”を掴むまで 支えになった恩師の存在
見上愛(みかみ・あい)
2000年生まれ、東京都出身。2019年にデビュー以降、映画・ドラマ・舞台・CMと活躍の場を広げる。大河ドラマ『光君へ』にて藤原彰子役で注目を集める。2026年前期放送予定のNHK連続テレビ小説『風、薫る』にて主演を務めることが発表された。
映画『かくかくしかじか』
人気漫画家・東村アキコによる同名自伝漫画が原作。漫画家になる夢を抱いていた、高校生時代の東村アキコが出会った恩師との青春の記録。先生が望んでいた二人の未来、そして東村がついた嘘。ずっと描くことが出来なかった、出会いと別れの日々が明かされる――。
原作 東村アキコ
監督 関和亮
脚本 東村アキコ 伊達さん
主題歌 MISAMO「Message」(ワーナーミュージック・ジャパン)
出演 永野芽郁、大泉洋、見上愛、畑芽育、大森南朋
公開日 2025年5月16日(金)全国公開
配給 ワーナーブラザーズ映画
©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会

2025.05.10(土)
文=高田真莉絵
写真=佐藤 亘
ヘア&メイク=豊田健治
スタイリング=下山さつき