この記事の連載
黒田剛さんインタビュー
黒田剛さん 極上映画7選
AIは便利な相棒。でも最後に決めるのは自分

――最近はAIを使って業務を効率良くする人も増えていますが、黒田さんはどう取り入れていますか?
黒田 全然使ってますよ。文章の校正したり、辞書代わりにリサーチしたり。でも、出てきた情報の良し悪しを判断するのは、結局人間の目なんですよね。
――内容の正確さだけじゃなく、「この言葉は相手に響くか?」みたいな感覚は、AIには難しい部分ですよね。
黒田 「この一言で心が動くか」っていうのは、数値化できない。だからこそ、判断をAIに丸投げしちゃダメだと思っていて。僕はよく「AIは、料理まではしてくれるけど味見するのは自分」って言ってるんです。
――すごくいい表現ですね。AIを使いこなすにも、人間側の「目利き力」が必要だと。
黒田 まさにそうです。便利なツールほど、使う側の力量が問われる。だからAIを導入すればするほど、自分自身の「判断する力」が鈍らないように意識してます。最終的に信用されるのは、誰がその言葉を選んだかなんですよ。
だから、ラクをするためにAIを使うというより、人にしかできない判断の質を上げるために使う。そしてその判断って、ちょっと遠回りだったり、余白を残したりする非効率の中から生まれることも多いんです。AIとどう付き合うかにも、人とどう向き合うかと同じくらい、丁寧さがいるんじゃないかと思っています。
黒田剛(くろだ・ごう)
書籍PR/非効率家。株式会社QUESTO代表。1975年、千葉県で「黒田書店」を営む両親のもとに生まれる。須原屋書店学校、芳林堂書店外商部を経て、2007年より講談社にてPRを担当する。2017年に独立し、PR会社「株式会社QUESTO」を設立。講談社の『妻のトリセツ』(黒川伊保子)は、シリーズ70万部を超えるヒットを記録。『いつでも君のそばにいる』(リト@葉っぱ切り絵)をはじめとする葉っぱ切り絵シリーズは30万部を突破。『続 窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子)は、発売2ヵ月で50万部突破。その他、KADOKAWA、マガジンハウス、主婦の友社、岩崎書店など、多くの出版社にてPRを担当。非効率ながらも成果を出す独自の仕事術をセミナーなどを通して伝えている。

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2025.05.05(月)
文=船橋麻貴
写真=橋本 篤