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桁違いの豪華さに圧倒される大統領官邸

 2019年に一般公開が始まった比較的新しい見どころ「カスル・アル・ワタン(祖国の宮殿)」は、約7年の歳月をかけて2017年から一般公開されている大統領官邸。その豪華絢爛さは世界有数で、広さも38万平方メートル(東京ドーム約8個分)と桁違い。別棟の受付から官邸の入口まで、シャトルバスで移動するほど広大な敷地だ。

 建物の入口を入り、エントランスホールのすぐ先に現れるのが「大ホール(The Great Hall)」。まずその規模に度肝を抜かれ、豪華絢爛な装飾にため息がもれる。中央の巨大なドーム天井は外光が差し込んで柔らかな光に満ちているし、天井も壁も床も美しい装飾で埋め尽くされているのだ。

 装飾は、青、白、黄色の3色で構成されている。青はアラビア湾の水、白は純潔、黄色は砂漠の砂の色を表現。単なる装飾ではなく、すべてにストーリーが込められている。ホールの四隅には高さ6メートルの鏡張りの立方体オブジェが配され、中に入ると摩訶不思議な空間に迷い込んだような感覚を味わえる。

 大ホールの周囲には、大統領官邸ならではの部屋があり、そのほとんどを見学することができる。「大統領への寄贈品(Presidential Gifts)」という展示室は、国内外の要人から贈られた貴重な品々が並び、まるで美術館のよう。なかには7世紀半ばの日本の甲冑も。ところが、その天井にはクリスタルの豪華なシャンデリアが架けられ、やはり美術館とは一線を画す贅沢なインテリアとなっている。

2025.05.20(火)
文・撮影=たかせ藍沙