「東博コレクション展」のスペシャルサポーターに佐々木蔵之介さんが就任

東京・上野公園にある「東京国立博物館」は、日本で最も長い歴史を持つ博物館。これまで、「総合文化展(常設展)」として、所蔵品・寄託品合わせて常時3,000件を展示していたが、2025年4月1日より名称を「東博コレクション展」に変更。スペシャルサポーターとして俳優・佐々木蔵之介さんが就任し、展覧会を盛り上げる。今回は佐々木さんが東京国立博物館の副館長・浅見龍介さんや研究員の案内のもと、館内をめぐる。

東京国立博物館が1872年に創立して以来、150年にわたって受け継がれてきた収蔵品は12万件以上。そのうち国宝89件、重要文化財653件(2025年4月現在)と、世界有数の日本・東洋美術コレクションを誇る。
「常設展といっても、常に同じ作品を展示しているわけではありません。季節や作品の状態などに合わせて常に展示替えをしていて、年に約400回展示替えをしています。展示されていない作品を納める収蔵庫のことを、“蔵”と呼んでいるんですよ」と浅見さん。
その言葉を聞いて佐々木さんは「なるほど、それで僕をスペシャルサポーターに選んでいただいたんですね(笑)。光栄です」と笑顔を見せた。
歴史の授業で学んだ記憶がよみがえる
まずは本館2階の1室「日本美術のあけぼの―縄文・弥生・古墳」へ。ここでは考古担当の研究員・山本亮さんが案内人に。

弥生時代に造られた「袈裟襷文銅鐸(けさだすきもんどうたく)」を前に、「教科書で観て想像していたものよりも大きいですね」と驚く佐々木さん。
「弥生時代のお祭りのときに使うもので、今でいう“ベル”ですね。初めは手で持って鳴らせるサイズでしたが、時代の変化につれて大きくなり、鳴らせなくなっていったので、研究者の間では『聞く銅鐸から、見る銅鐸へ』と表現します。現在錆びて緑色に変色していますが、ブロンズ製なので、もともとは10円玉のように光り輝いていたんですよ」(山本さん)

「埴輪 大刀を佩く男子(はにわ たちをはくだんし)」が作られたのは古墳時代。2本の刀を佩いているのが特徴だ。
「よく見ると、胴体にストライプのような白い筋が入っていますよね。はにわに色が塗られていることが最近注目されるようになってきました」(山本さん)

佐々木さんは「頭にもストライプの色が付いているということは、被り物をしているんですね。刀だけでなくネックレスも着けている。表情に愛嬌がありますね」と興味深げにはにわを見つめる。
さらに展示は「仏教の興隆―飛鳥・奈良」へと続く。日本の文化は仏教の受容とともに飛躍的に進歩を遂げていった。このエリアでは、日本仏教黎明期の彫刻や書跡・典籍、工芸などが紹介されている。
きらびやかな宝玉や仏像を前に、「縄文、弥生から一気に雰囲気が変わりますね」と佐々木さん。
2025.05.01(木)
文=河西みのり
撮影=平松市聖