作品の魅力とともに、博物館を支える人々の想いも伝えたい

 改めて佐々木さんに、「東博コレクション展」スペシャルサポーターとしての意気込みや見どころについて聞いた。

「普段はひとりで観に来ることが多いのですが、今日は研究員の方々とご一緒させていただいて、一つひとつの作品がグッと身近に感じられました。また、研究員の皆さんが、それぞれ担当されている美術品に対して熱い想いを持たれているので、お話を伺うのも楽しかったです。さまざまな作品を収集して、保存して、展示して、修復して、また調査研究が続けられて……展示室よりも、バックステージで行われている作業の大変さを思い浮かべたりもしました。

 今回、僕が最も印象的だったのは『金剛力士立像』。はじめ、どこに配置しようか悩まれたそうなんですが、お寺の守り神だからやはり入り口だろう、と。本当に圧巻でした。ところが裏側を観たら、背中はちょっとぷっくりしていて――言ってみればぜい肉ですよね(笑)。平安時代と鎌倉時代で体型に差があるということも発見でした。

 驚いたのは、約12万件の所蔵品の中で展示されているのは約3,000件、つまり40分の1しかない。ということは、最短でも4年かけないと所蔵品すべてを観ることはできないんですね。ほぼ毎週どこかで展示替えされているから、いつ来ても新しいものが見られるのは魅力だと思います。夏には国宝室で『納涼図屏風』(久隅守景筆、江戸時代・17世紀、2025年7月23日[水]~8月17日[日]展示予定)が展示されると伺ったので、夕涼みに来てみたいですね。

 展示されている作品を観るだけでも、もちろん面白いのですが、その裏側にある歴史や背景を知ることで、見え方が変わるということも教えていただきました。こうしたきっかけを与えていただいたので、僕も新しく発見したり、楽しく学んだり、皆さんと一緒に共有できたらと考えています」(佐々木さん)

佐々木蔵之介(ささき・くらのすけ)

1968年2月4日生まれ 京都府出身。神戸大学在籍中、劇団「惑星ピスタチオ」の旗揚げに参加。退団後、2000年NHK朝の連続テレビ小説「オードリー」で注目を集めその後テレビ・映画・舞台など数多くの作品に出演。2005年には自身がプロデュースを務める演劇ユニット「Team申」を立ち上げ不定期で公演を開催している。主な出演作にNHK大河ドラマ『光る君へ』(2024年)、『映画 マイホームヒーロー』(2024年)、『ゴジラ -1.0』(2023年)、舞台『冬のライオン』(2022年)、『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』(2022年)など。舞台『ヨナ』5月下旬にルーマニア・シビウでワールドプレミア、東欧5カ所ツアーの後、6月下旬のシビウ国際演劇祭に参加。10月、11月は東京芸術劇場をはじめとする、各地で公演予定。
佐々木蔵之介FCサイト『TRANSIT』:https://sasaki-kuranosuke.com/

東博コレクション展

会場 東京国立博物館(東京都台東区上野公園13-9)
開場時間 9:30~17:00(金・土は9:30~20:00)
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日 ※ただし、月曜日が祝日または休日の場合は翌平日
観覧料(東博コレクション展示) 一般1,000円、大学生500円
※高校生以下及び満18歳未満、満70歳以上は無料。入館の際に年齢がわかるものを提示
※障害者とその介護者1名は無料。入館の際に障害者手帳等を提示
※特別展、有料イベント等は別途料金が必要
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.tnm.jp/

2025.05.01(木)
文=河西みのり
撮影=平松市聖