【ブランパン】マニュファクチュールの美意識を宿して

　現存する世界最古のマニュファクチュールメゾンであり、創業290周年を迎えた「ブランパン」。その創業地の名前を冠した“ヴィルレ”コレクションには、土地の記憶と脈々と受け継がれてきたメゾンのものづくりの原点が秘められている。

290年の歴史を刻む創業地へのオマージュ

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　“ヴィルレ”コレクションが生まれる工房があるのは、高級時計発祥の地であるスイスのジュウ渓谷だ。職人たちは、自然光が降り注ぐ作業台に向かって、真摯に時計作りを行っている。

　合間に目を転じれば、手つかずの自然が心を癒やす。ヴィルレ コレクションが時代を超えて愛され、ブランドの美意識を語るアイデンティティとなっている理由。それは、この雄大な景色を背景に育まれた伝統に誇りを持ち、進化を続ける時計師たちの矜持が詰まっているからにほかならない。

　コレクションのルーツは、1983年より誕生したシックスマスターピースにある。重力の影響を解消するトゥールビヨンや音で時刻を知らせるミニッツリピーターなどの複雑機構を搭載した6つのモデルは、マニュファクチュールの卓越性を伝えるものだ。メゾンは現在でもこれらの機構を手がけ、手巻きや自動巻きといった機械式時計のみを作り続ける。

　今回、ご紹介する3点の“ヴィルレ”には、この伝説のマスターピースで表現されたディテールが受け継がれている。共通するのは、“ダブルステップベゼル”と呼ばれる独自のベゼル。細く、2段に重ねたベゼルがエレガントな印象を高めている。ぜんまいを動かすローターという表からは見えないパーツにまでゴールド素材を使用するこだわりも息づく。

　また、「ヴィルレ デイト＆ムーンフェイズ」のムーンフェイズは、星形のつけぼくろがあしらわれた遊び心あるものを採用。「ヴィルレ コンプリートカレンダー」の視認性に優れ、極限まで長く配置されたスケルトン針などにも、伝統的な審美性が見える。

　ブランパンの真髄をあますところなく伝える“ヴィルレ”。このタイムピースを愛用することは、スイスの機械式時計文化と貴重なマニュファクチュールへの賛美にも通じる尊い行為なのだ。

ペアの装いも楽しめる豊富なバリエーション

　オフィスから華やかな席まで、自信を持って身につけることができる究極のドレスウォッチは人生の節目にペアで揃えるのがおすすめだ。

　レディスの「ヴィルレ デイト＆ムーンフェイズ」には、ステンレススティール素材とレッドゴールド素材のケースがあり、それぞれベゼルにダイヤモンドをセッティングしたモデルも用意されているので、自分のライフスタイルに合った1本が選べる。

メンズモデルには、複雑機構を容易に操作する秘密機能を搭載

　小さなパーツ一つひとつもすべて自社で製造するマニュファクチュールだからこそ特許機構を生み出すことができる。その代表例といえるのが、メンズモデルに搭載された“アンダーラグコレクター”。

　工具を使わずにプッシュ式で簡単にカレンダー調整を行えるもので、時計のエレガンスを妨げないようにラグの裏の下にさりげなくあしらわれているのだ。

2025.03.28(金)
Edit & Text＝Rica Ogura
Photo＝Toshimasa Ohara（aosora）

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。