横浜美術館コレクションの名作の数々が久しぶりに勢ぞろい

1章~6章までの作品が映し出したのは、これまでの横浜。第7章「美術館が、ひらく」では、横浜美術館開館以降をテーマとし、ポール・セザンヌ、パブロ・ピカソ、ルネ・マグリット、奈良美智など、横浜美術館に収蔵されているおなじみのコレクションを、新しい視点から読み直します。
例えばポール・セザンヌとパブロ・ピカソ。これらの作品は同じフロアに展示され、描かれた人物と作家の関係に着目。作品を読み解く視点が解説されています。
子ども用の椅子やパネルも! 子どもも一緒に楽しめる


最終章は「いよいよ、みなとが、ひらく」と題した未来の子どものための展示。子どもでも見やすいよう工夫して作品が展示されている「子どもの目でみるコーナー」が用意されています。
子どもの目線に合わせて作品を通常よりも15cm下げて展示し、子ども用のいすを設置。作品解説もすべて平仮名で書かれています。
例えば、ルネ・マグリット《王様の美術館》のパネルでは、
からだが すきとおった ひとが
こちらを じーっとみているよ。
このひとは どこにいるんだろう。
いったい なにを みているの?
そもそも このひとは ひとなのかな?
アート初心者が美術館に入ると、どう鑑賞したらいいのか戸惑ってしまうこともあるでしょう。もちろん鑑賞にルールなんてありませんが、子どもの目でみるコーナーには、作品に関するわかりやすい言葉のパネル展示があり、想像力を掻き立てます。

同時開催中の横浜美術館コレクション展にも注目です。「新たにむかえた作品たち――生活・手仕事・身体」の中には、歴史上の人物に扮したセルフポートレートを手がける森村泰昌《私の中のフリーダ(自分との対話1)》や、新収蔵作品特別展示として淺井裕介《八百万の森へ》などが展示されるなど、横浜美術館のコレクションの豊かさを実感できます。
新しい横浜美術館は、豊かな気づきに満ちた開放的なアート空間へと生まれ変わりました。ふとした瞬間に訪れることで、新しい出会いや感動に満ちたこの空間は、その後の日常に彩りを与えてくれます。
「おかえり、ヨコハマ」展はもちろん、カフェやミュージアムショップ、フリーのアートギャラリーや図書室など、感動との出会いの形はさまざま。この機会に見応えたっぷりな横浜美術館へ足を運んでみてはいかが。
横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」
会期:2025年2月8日~6月2日
https://yokohama.art.museum/

2025.03.14(金)
文=桐生奈奈子