大きなモフモフに抱きつきたい!
――どうしてこの写真集を作ることになったのですか?
小林 RIKUさんの写真があまりにも素敵で、個人的にSNSを拝見していたんです。RIKUさんは、決定的瞬間を抑えるのがものすごくお上手で。ご本人に聞いたら、「気になる動物には何度も会いに行く」とおっしゃっていました。
動物のいい写真、おもしろい写真を撮る方はたくさんいらっしゃいますが、RIKUさんの写真は撮った側の“ドヤ顔感”がないというか。そこにある事実を丁寧に捉えているんですよね。そんな動物の動きから毛並み、温度感までを伝えられたら、猫好きの念願の夢「大きなモフモフに抱きつきたい」を叶えられる気がしたんです。もちろん現実では無理なので、写真集の中での話ですが(笑)。

――写真に短く、ひと言添えられている文章にも心掴まれます。
小林 RIKUさんがSNSに投稿する動物の写真には、そこにある事実を一言添えられていることが多く、見る側を誘導しない魅力がありました。写真が素敵なのでテキストなしの写真だけで構成することも考えましたが、RIKUさんのコメントセンスを生かしたくて、キャプションを入れました。
ネコ科猛獣動物だけど、やっぱり猫
――数多あるRIKUさんの写真の中から、写真集に使うものを選ぶのは大変そうですね。
小林 RIKUさんはクオリティをとことん追求するタイプなので、ご自身でかなり絞り込んでくださいました。そこから選ばせていただくにあたって裏テーマにしたのは、「物語」と「メリハリ」です。
RIKUさんの写真はクオリティの高いものばかりなので、インパクトの強い写真で構成したくなるのですが、そこはグッと我慢。対になる左ページと右ページで物語が見えたり、インパクトの強い写真の次にはひと休みできるような写真を置いたりと、リズミカルで気持ちのいい構成を心がけました。
あとは、「ネコ科猛獣動物だけど、『ほぼ、ねこ』だ!」と感じられる写真を選出するようにしました。例えば、トラのアースが蝶々を目で追っている1枚。猫がオモチャにロックオンしている目つきで、「猫だなぁ」と思える微笑ましい写真です。

――写真集に出てくるトラ、ライオン、ユキヒョウ、ホワイトタイガー……。どれも猛獣で野生みはちゃんとあるのに、やっぱり猫っぽい。そのギャップにやられてしまいますね。
小林 自分で企画・編集しておきながら、その気持ちわかります(笑)。我が家では元保護猫の親子を飼っているんですけど、トラやライオンたちの子育てをしている写真を見て、「うちの猫と一緒だな」と感じることが多くて。あんなに大きい体なのに、小さな子供たちに翻弄されている。そんな姿が愛おしいですよね。
猫は単独行動といわれているのに、狭い空間にぎゅっと集まって猫団子になったりするんですが、ネコ科猛獣たちもそれと同じなんですよね。家族で1カ所に集まっている姿は猫たちとも重なるし、自分が親トラに甘えている気分にもなります。
そういう猫っぽい行動を、体が大きい猛獣たちがしている。そのギャップによって、愛情とかわいさが倍増してしまうんですよね。


2025.03.06(木)
文=船橋麻貴
写真=RIKU