なんと天ぷらは25種類

 食べながらメニュー表をじっくり眺めてみた。いったい天ぷらはいくつあるのだろうか。

 メニューの右上から調べていくと、竹輪天、いか、天ぷら(かき揚げ)、紅生姜、ゴボウ、春菊、ゲソ天、海老天、海鮮かき揚げ、天ぷら玉子、かぼちゃ、ピーマン、さつま芋、人参、舞茸、レンコン、ナス、桜エビ天、ホタテ天、穴子天、ジャンボゲソ天、ナス納豆天。

 さらに別メニューで、ブロッコリーの天ぷら、きす、めごち、ハゼ。なんと25種類もの天ぷらがそろっている。天ぷらがこんなに種類がある店は板橋区役所前「えんば」か、ここくらいではないだろうか。友人は15種類制覇して残りは10種類。あと1か月以内で全制覇できる予定だとか。

 特徴的なのは、魚介類の天ぷらが充実していることだ。それを坂野店長にたずねると、キラッと目を輝かせて教えてくれた。実は店のオーナーが地元の名士で足立市場の魚屋と古い付き合いがあってそこから新鮮なネタを仕入れているとのこと。また坂野店長は長年和食の料理人として活躍してきたので、魚の仕込みや天ぷらはお手のもの。どんどん天種が増えているとか。

「マイ天丼」を作る裏技あり

 さらに立ち食いそば屋ならではの粋な天丼を注文する裏技があるという。それは自分好みの天ぷらを選んで「マイ天丼」を作ってもらう方法だ。まず、券売機で好きな天ぷらを選び、ライスか半ライスを選んで天丼でと注文する。

 ということは、ゲソ天と半ライスの食券を渡せば「ゲソ天丼」が頼めるわけである。

 天丼を食べた後で満腹だったのだが、そんなことは言ってられない。さっそくゲソ天丼を発注することにした。すると坂野店長は半ライスに丁寧にどんつゆをかけて、さらにゲソ天をのせてさらにどんつゆをかけ回して完成だ。夢にまでみた「ゲソ天丼」の登場だ。

「一由そば」や「六文そば」にゲソ天はあるが「ゲソ丼」はないのである。こちらのゲソ天はコリッコリのゲソと玉ねぎが入ったタイプ。両者の食感の違いがすばらしい。どんつゆもあまく濃い目でもう箸が止まらない。

2025.02.23(日)
文=坂崎仁紀