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ガラスや民藝のうつわに盛るとまた違った表情に

厚みがあって柔らかい印象のお皿ほど盛りやすい

◆ガラスのうつわ

 やっぱり暑い時期にはガラスのうつわを使いたくなります。高さのある格子模様のうつわは片手に入る大きさで持ちやすく、コールスローなど少し汁気のあるものにもいいです。手のひらサイズで、少し高さのあるうつわは副菜用にいいですよ。

 平皿は厚みがあって、ふちに丸みがあります。うつわ全般に言えることですが、ふちが厚いと見た目に柔らかい印象になり、薄いほど繊細でシャープな感じになります。私の考えですが、厚みがあって柔らかい印象のお皿ほど盛りやすくなる。適当に盛っても、おさまりがいいんですね。繊細な感じのお皿は、きっちり盛らないときれいにならないんですよ。

 縞模様のガラスのうつわは、黒い部分があることで紫キャベツやにんじんの色がよりあざやかに。これは辻和美さんというガラス作家さんのうつわです。おしゃれで楽しく、元気のあるガラスのうつわを生み出す方。デザート用にもいいし、私はお花を生けるのに使うのも好きです。

やちむんはシンプルなサラダも力強い印象に

◆民藝のうつわ

 サラダは日本の民藝のうつわに盛っても楽しい。色味のあるものは沖縄県に伝わるやちむん、白地のは福岡県の小石原焼のもの。手仕事ならではの温かみがありますね。

 やちむんは色彩の持つ力強さがサラダにも加わるというか。シンプルなグリーンサラダも力強い印象になって、盛った感じにインパクトが出ます。深さがあるので量をもっと盛ってもいい。多めに盛ってお客様のときに使うのにもいいですね。

 対して小鹿田焼は平皿で、量を盛るというより、ふわっと上品な盛りつけが向きます。模様が集中線のようになって、お料理にグッと目が行くようにも。

 お皿の色や材質、形状でずいぶん見た感じも変わります。

 次回はメインのおかずを盛りつけて比べてみましょう。ハンバーグをいろんなうつわに盛ってみます。

白央篤司

フードライター、コラムニスト。「暮らしと食」がメインテーマ。主な著書に、日本各地に暮らす18人のごく日常の鍋とその人生を追った『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)、『台所をひらく 料理の「こうあるべき」から自分をほどくヒント集』(大和書房)がある。
https://www.instagram.com/hakuo416/

次の話を読む「遊びのあるお皿にすると“洋食のごちそう”感が出る」料理が映えるうつわの使い方:ハンバーグ篇《敏腕スタイリストが伝授》

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Column

うつわのある暮らし

食を彩る素敵なうつわとともに日々を過ごす。憧れるけどなにから始めたら? フードライターの白央篤司さんが、「うつわのある暮らし」を始めるヒントを探りに、うつわの専門家を訪ねました。

2025.02.24(月)
文=白央篤司
撮影=平松市聖