内部に入って世界観に没入できるアート作品

草間彌生「無限の鏡の間 ー心の中の幻」

 鏡張りの四角い作品、実はこの中もアート空間になっています。中に入って扉を閉めると世界が一変。無数の穴から差し込む光が重ならずに無限に広がって......幻想的な世界が広がります。

「ミラールーム」の名称で親しまれ世界各所にあるシリーズ作品ですが、屋外に常設設置されているのは世界でクルックフィールズだけ。

増田セバスチャン「ぽっかりあいた穴の秘密」

 外からは無表情なオブジェ? 筒? に見えるこの作品、中に入って思わず「わぁ」と声を上げてしまいました。テーマは「穴」。圧倒的にネガティブな存在である穴を、空に向かってどこまでも突き出ていくとき、それはポジティブになりえるのか? そんな思いが込められた作品です。

 中に入ると確かにそこは穴。しかし、穴の壁面はキラキラで満たされています。キラキラの正体は壁に敷き詰められた数えきれないほどのおもちゃやオーナメント。いくら見ても見飽きない不思議な空間です。

空間そのものが芸術的な「地中図書館」も訪れたい

 木や草花が生い茂る土の下にひっそりと佇み、それでいて人を惹きつけてやまない「地中図書館」。ガラス張りになっている外壁から中を覗くと、静謐な空間の床から天井まで本、本、本! 映画の世界に迷い込んだようなこの光景を見るだけで胸が高鳴ります。

 ここには自然や農的な暮らしに関するものを中心に、詩、哲学、歴史、宗教、科学、経済と独特な広がりやつながりが感じられる選書の数々が並んでいます。さらに、本棚をよく見ると、並んでいる本のジャンルがバラバラ。図書館を巡る中で、偶然訪れる本たちとの出会いを楽しんでほしいとの想いからあえてジャンルでまとめていないそう。

 利用にはメンバー登録と予約(1日限定40名)が必要となり、予約者は時間内なら何時間でも利用可能。クルックフィールズの宿泊者ならオールナイトで利用できるというから本好きにはたまりません。

2025.03.06(木)
文=上野 郁
写真=大森 光太郎、上野 郁