驚きとワクワクに溢れる革新的な料理

 メニューはイタリアンをベースにしながらも、感性を刺激する、イノベーティブなものばかり。

 例えば農場のミルクで作ったできたてのモッツァレッラチーズを使った「水牛モッツァレッラのカプレーゼ」。カプレーゼなのにトマトはどこ? と思って口に入れると、しっかりとトマトの酸味が感じられるから驚きです。この無色透明なスープが、実はトマトのスープ。丁寧に丁寧に濾すことで透明にできるのだそう。

命を美味しくいただくという食体験

 メインの肉料理となるのは「猪肉の薪焼き」です。使用する猪肉は獲って30分以内に処理をした肉のみに限定しており、レストランの外にある薪火で食べる直前に火入れをします。

 まず驚くのがその見た目。ジビエ特有の色合いとは異なり、淡いピンク色です。これも新鮮さにこだわりぬいているからこそ。臭みも一切なく、柔らかくジューシーで、これまでのジビエの印象が180度ひっくり返ります。ジューシーさの秘訣は薪。薪は炭よりも水分を含んでいる分、緻密な温度調節が必要となるものの、瑞々しい仕上がりになるのだそう。

 猪肉がこんなに美味しいのなら普段からもっと食べればいいのに! と思ったのですが、猪は駆除されたうちのたった1割しか世に出回らないのだそう。きちんと処理すればこんなに美味しくいただけるお肉を、処理体制が整わないことを理由にほとんど捨ててしまっているのが現実だと教えてもらいました。

生命力に満ちた食材がなによりものご馳走

 採れたての新鮮食材で作られた料理はどれも一期一会の美味しさ。シェフの生産者や素材への真摯なリスペクトが感じられて、食べることで心が満たされていくのがわかります。

 ちなみに、こだわりのあるレストランで敷居が高そうと心配する必要はなし。カウンター越しに気さくに話してくれるシェフが優しく歓待してくれます。食体験を通して「人と自然との繋がり」を体感できる貴重な時間を過ごせるあっという間の2時間でした。

 のびやかな木更津の空気の中、アートと極上の食体験で心と身体にたっぷりとエネルギーチャージ。なぜこんなに満たされた気分になるのだろうと考えると、それはきっと目の前にあるものを慈しむクルックフィールズの想いに触れたからかも。絶対にまた来たい! そう思える大切な場所となりました。

『KURKKU FIELDS』

所在地:千葉県木更津市矢那2503
営業時間:10:00-17:00
※時期によって変更します。
定休日:火曜、水曜
入場料金:中学生以上 800円、小学生 400円、未就学児 無料
※ビジターの場合の料金。メンバー割引もあります。
公式サイト

『perus』

営業時間:ランチ 12:00〜14:30(L.O.13:30)、ディナー 18:00〜(要予約)
料金:ランチ 2,980円、3,980円、4,980円の3種類
   ディナー 14,000円、アルコールペアリング 9,350円、ノンアルコールペアリング 7,150円
公式ページ

2025.03.06(木)
文=上野 郁
写真=大森 光太郎、上野 郁