主役でありながら目立ってはいけない…「全員が主人公」で吉野北人が背負ったこと〉から続く

 映画『遺書、公開。』で、地味で目立たない高校生・池永柊夜(いけなが・しゅうや)を演じた吉野北人にインタビュー。

 撮影の裏話や、アーティスト、俳優としても活躍するTHE RAMPAGEのボーカリストとしての吉野さんの信念などをお聞きしました。(全2回の後編/前編を読む)

◆◆◆

まだ全然高校生役いけるな、って

──『遺書、公開。』では、前回吉野さんが主演を務めた映画『私がモテてどうすんだ』(20年)に続き、高校生役を演じています。年齢的に、戸惑いはありませんでしたか?

吉野北人さん(以下、吉野) 見た目的には大丈夫だろうと思いましたが、自分の気持ち的には少し不安でした。

 ただ、僕の通っていた高校が学ランだったので、当時のことを思い出しながら、違和感なく「高校生」の世界に入っていくことができました。まだ全然高校生役いけるな、って思ったくらいです(笑)。

──共演者のみなさんとも、本当のクラスメートのようだったのではないでしょうか。

吉野 そうですね。一通りみんなと話しましたが、席が近かった志田彩良さん(廿日市くるみ役/序列20位)や、僕と同じようにアーティストとしても活躍している琉弥(宮世琉弥:千蔭清一役/序列16位)とはよく話しました。

 志田さんは映画のキャラクター通りの真面目でおとなしい印象でしたが、よくお話ししている明るい「陽キャラ」で、そのギャップに最初は驚きました。

 髙石あかりさん(御門凛奈役/序列3位)とはご一緒したのがはじめてだったんですけど、本読みのときの演技力が半端なくすごくて、大ファンになりました。

 髙石さんも宮崎県出身なので、どこのお店のチキン南蛮が美味しいというような地元ネタでも盛り上がりました。

「自分をしっかり持とう」と思えるきっかけになれば

──楽しそうですね。ただ本作は、高校を舞台にはしていますが、明るくキラキラの青春モノではありません。

吉野 そうなんですよ。ここまであからさまではないにせよ、カーストや序列は、学校だけではなく、職場や趣味のグループなどでもあると聞きます。それでも、信念を持って自分を貫き通せば、きっと生き方が揺らぐことはない。だからこの映画は、「自分をしっかり持とう」と思えるきっかけになればいいなと思っています。

 まわりの空気や流行、あるいはデータなど、世の中には人を惑わせるものがたくさんありますが、結局は自分次第なのではないかと思うので、僕はこの作品を観た方に「あなたならどうする?」と聞いてみたいです。

2025.02.11(火)
文=相澤洋美