「役者・俳優」という仕事は異次元の挑戦

──吉野さんは、歌にダンスに俳優に……と「生き方」の選択肢をたくさんお持ちです。ご自分の信念を曲げないために意識していることはありますか?

吉野 僕はアーティスト・歌手である自分を、第一に考えています。映画主演のお話をいただけるのも、僕がTHE RAMPAGEのメンバーだからで、いまの肩書きがなかったら、俳優としてはきっとやっていけないと思っています。それほど、「役者・俳優」という仕事は、僕にとって異次元の挑戦なので、いつも心して取り組んでいます。

──役者としての吉野さんも目覚ましい活躍ですが、ご自身では納得がいかないということですか?

吉野 納得がいくかどうかではなく、僕にとってはまったく違う世界なんです。役者はキャラクターをイチから自分で作り上げる仕事です。「自分を出す」のではなく、役柄を深掘りして自分なりに作り上げた人物像を前面に出していくので、役にとことん向き合う覚悟が必要で責任も重い。

 それに対して、僕が考えるアーティストは、「自分」をとにかく前に出し、どこまで自分を表現できるかが重視される世界です。いまの僕にとっては、こちらのアーティストの世界のほうがわくわくするし、しっくりくる、ということです。

 それにライブだと目の前にお客さんがいて、ダイレクトに反応がわかりますが、映画の場合は、作品公開までかなり時間がかかるうえに、直接お客さんの反応も見られない。その違いも大きいと思います。

主題歌はあえてパワフルなロックサウンドに

──THE RAMPAGEが歌う今作の主題歌「Drown Out The Noise」の、映画の独特な世界観を象徴しているようなサウンドも印象的でした。

吉野 この楽曲は僕がデモから関わりました。最初はもう少しホラー系というか、どんよりした曲調を考えていたのですが、作品がドロドロしているからこそ、主題歌はぶった切ったほうがいいと思い直し、エッジの効いたギターフレーズと、パワフルなロックサウンドで表現しました。

 映画の最後に驚きの展開が待っているのですが、それもふまえて、力強いロックで締めました。

──メンバーの反応はいかがでしたか?

吉野 メンバーはまだ映画を観ていないので感想はこれから聞きますが、楽曲に対しては、「めっちゃかっこいい」と言ってくれました。ライブでも歌えるように、しっかりダンスパートも入れたので、ライブでも早くお披露目したいです。

2025.02.11(火)
文=相澤洋美