近代寺院建築の傑作である「摩尼殿」

 境内には国や県指定の文化財が多く、その中心に位置する京都の清水寺に似た「摩尼殿」は、近代寺院建築の傑作と称されていて、今年1月に国の重要文化財に指定されました。

 摩尼殿は4回再建されており、現在の摩尼殿を設計したのは“関西建築界の父”とも称される武田五一氏。現代を代表する建築家・隈研吾氏も尊敬の念を示しており、影響を与えています。その縁もあり、隈研吾氏は「摩尼殿」と室町時代の建築である「三之堂」にインスピレーションを受け、境内にパビリオン《くぎくも》を展示しています(12月1日まで)。

トム・クルーズも訪れた「三つの堂」

 さらに、もうひとつの見どころが、国の重要文化財である「大講堂」「食堂 (じきどう)」「常行堂」からなる「三つの堂」です。三つの堂は、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』(2014年)などの時代劇に登場しているほか、トム・クルーズと渡辺謙主演の映画 『ラストサムライ』(2003年)のロケ地としても話題になりました。

 日本気象協会によると、書寫山圓教寺は現在「全体的に紅葉してきている」状態で、今年の紅葉の見ごろは「11月下旬~12月上旬」と予想されています。

 数十の歴史的建造物、記念碑、墓地、本堂と6つの塔頭が、31ヘクタール超の書写山の一帯に存在しているため、散策には2時間ほどかかり、余裕をもって訪れるのがおすすめ。紅葉の時期だけでなく、年間をとおして姫路城とともにぜひ訪れたい、人気の観光地です。

2024.11.30(土)
文=CREA編集部
写真=釜谷洋史