あと、テーブルにもよじ登ってしまうんですよ。だから、一時期は家の椅子を全部横に倒して遠くに置いて登れないようにしたんですけど、それもすぐに全部攻略されちゃって。ちゃんと椅子を縦に戻して、ズリズリ引っ張ってきて登るんです。パパ譲りなのか攻略が上手いんですよ(笑)。

――発達障害について知識がないと理解されにくい特性があると。

倉持 定型発達の子だったら注意も聞けるかもしれないけど、知的な遅れもある湊にはなかなか厳しいですね。もちろんダメなことをしたときは「ダメだよ」「◯◯しないでね」と注意はするのですが、逆上して引っ掻かれたり髪を引っ張られたりしちゃうんです。フルパワーで来るので普通に痛いんですよ。

  飛び跳ねるのが至福の時間で、湊らしくいられる時間なのかなと思うのと、危なかったり、他の方に迷惑がかかることでなければなるべくやらせてあげたいなとは思いますね。

 

タワマンから戸建てに引っ越した理由

――タワマンから戸建てに引っ越しをされたそうですが、それも湊さんのことを考えて?

倉持 最初は夫の仕事の都合で引っ越したんです。タワーマンションって、300戸とかに回線を分け合わなきゃいけないんで、ネットの速度が遅くなりやすくて。そうすると、プロゲーマーとして自宅からオンライン大会に参加する夫の仕事に致命的な影響が出るので、10ギガ回線を引けるようにと、タワマンを売って戸建てに引っ越したんです。

 でも、今となっては、湊もどっすんどっすん飛び跳ねるんで引っ越して本当に良かったと思いますし、今後も戸建てじゃないとちょっと無理かなと思ってます。

夫から「発達障害の理解を広めていくのが大事」と言われ…

――お子さんを育てている方でも、発達障害についての理解はなかなか進んでいないと感じる?

倉持 理解してくださる方ももちろんいますが、定型発達の子を育てている方との噛み合わなさを感じることはあります。子育て中の方にさえ伝わっていないのなら、子どもを持っていない方にはさらに遠いものかもしれないですし。

2024.11.15(金)
文=小泉なつみ