そのとき、「いつまでもふさぎ込んでいても時計は止まったままだよ。湊はもう産まれてここにいるんだから、これからの未来のことを考えて、時計を進めていかないと。湊のことを2人で一緒に攻略しよう」と言われてハッとして。
湊のことを思うなら1日でも早く行動をするべきで、母親の私が塞ぎ込んでる場合じゃないんですよね。プロゲーマーらしい言葉選びも含めて、「たしかに!」って心から納得できました。
――「攻略」というところに、プロゲーマーを感じます。
倉持 夫のこういうところが好きで結婚したんだったと、改めて思いました。
「なんで注意しないんですか」「しつけがなってない」と指摘されることも…
――湊さんのことを公表したことでどんな反応がありましたか。
倉持 もっと誹謗中傷がくるかなと思ってましたけど、9割5分、ポジティブな反応でしたね。本当にありがたかったです。一方で、発達障害を理解してもらうことの難しさも感じていて。
――具体的にはどういったことでしょうか。
倉持 もし足に障害のある子だったら、「歩かせればいいじゃないですか」とは言わないですよね。でも、発達障害は目に見えないぶんわかりにくくて、「なんで注意しないんですか」とか、「しつけがなってない」みたいになりがちなんです。
――湊くんの行動で周りから注意を受けることがあると。
倉持 湊がずっとソファの上で飛び跳ねるので、半年でソファがダメになってしまったことをSNSに投稿したら、「飛び跳ねさせなければいいのに」とか、「うちは3人子どもを育ててるけど、みんな聞き分けがいいのでものが壊れたことなんかありません! 躾がなってない!」みたいなリアクションがあって、グサッと刺さりました。
飛び跳ねてるときの息子はとても幸せそう
――飛び跳ねるのも、湊くんの特性のひとつ?
倉持 自閉スペクトラム症の子は足の裏の感覚が鈍いことがあるようで、刺激を求めて飛び跳ねたりするんです。それで気持ちが落ち着く子もいるみたいで、たしかに湊も、飛び跳ねてるときはとても幸せそうなんですよね。
2024.11.15(金)
文=小泉なつみ