
フェムテックに関する雑誌連載を持ち、飾らない言葉で女性の抱える悩みや想いを発信している伊藤千晃さん。今回は、産婦人科医の清水なほみ先生にアドバイスをいただきながら、生理の時に多くの女性がお世話になるナプキンについて、困りごとや対処法について考えます。
伊藤千晃
1987年、愛知県生まれ。2017年に男女混合パフォーマンスグループAAAを卒業、18年よりソロ活動を始動し、アーティスト、モデル、タレントとして多方面で活躍。近年では自らの経験より、フェムテックやオーガニックを通して、全ての女性たちが輝ける生き方について発信している。22年3月、フェムテック協会認定資格2級を取得。
清水なほみ
産婦人科医。日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー。2001年に広島大学医学部医学科卒業後、広島大学附属病院産婦人科、中国がんセンター産婦人科などを経て、2010年に「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業。
経血モレが気になるのは、ナプキンが合っていない証!?

──最近は、生理用品の選択肢が増え、ナプキン、タンポン、吸水ショーツ、月経カップなどさまざまなアイテムが充実しています。それでもやはり、日本ではナプキンを使用する人が圧倒的に多いことがさまざまなデータでも証明されていますが、伊藤さんはいかがですか?
千晃さん 私はタンポンが苦手だったので、20代まではナプキンしか使っていませんでした。数年前にフェムテックという言葉と出合ってからは、経血量やスケジュールに合わせて吸水ショーツを使うこともありますが、それでもやはり、頼りになるのはナプキンだと思っています。
清水先生 ナプキンは種類が多く、生活シーンに合わせて選択できますからね。その分、どれを選べばいいかわからないという声も聞きますが、私の中学生の娘には、自分に合うナプキンを見つけてねとアドバイスをしています。

千晃さん 自分に合うナプキンには、どうしたら出合えるのでしょうか。
清水先生 日中でも夜用のナプキンが必要なほど経血量が多い場合は受診の必要がありますが、そうではなく、経血量が多い日に経血モレが気になるようでしたら、もしかしたら、そのナプキンが合っていないのかもしれません。ナプキンはどれを使っても同じだろうなどと決めつけず、他のものを試してみるのがいいかなと思います。
千晃さん たしかに、ナプキンがズレたり、肌との間に隙間ができてしまうと、経血モレが気になることがあります。次にお手洗いに行けるタイミングまで、ずっと気になり続けてしまうので、かなりストレスも感じますよね。
清水先生 生理中のストレスをできる限り払拭できるのが理想です。ズレなどによって経血モレを心配することもストレスですが、ナプキンと肌が密着しすぎている状態も肌にとってはストレスなので、自分にフィットするものを見つけられるといいですね。
ちょいズレや漏れが気にならないナプキンはきっと見つかる

──ナプキンは使い捨てできる手軽さが魅力ですが、汗をかく季節は特に、ムレやニオイなどのトラブルが気になる人も少なくないようです。
千晃さん 私は20代の頃、ステージで歌いながら踊ってもいたので、たくさん汗もかいたし、動くのでナプキンの羽の部分がこすれて足の付け根に青アザのようなものができてしまったこともありました。
当時を振り返ると、汗でムレて痒くなる、清潔にしなきゃと思ってボディソープで入念に洗う、それによってデリケートゾーンが乾燥して痒みが長引く、という負のループに陥っていました。

清水先生 生理前は黄体ホルモンの影響で肌の状態が不安定になりやすいですし、生理中はバリア機能も下がりがちなので、どうしてもトラブルは起きやすいです。
経血には雑菌も多く、ナプキンが肌とべったりくっついて密着すると、吸い込んだ経血を肌に押し当てている状態になる上にムレやすくもなります。
さらに、その状態で動くたびにこすれてしまうと、かぶれや痒みはより生じやすくなります。面で当たらず、間に空気は入るけれど肌から離れすぎない。ほどよいフィット感のあるものを探していただきたいです。
千晃さん ナプキンって、なんとなくいつも同じものを手に取ってしまいがちだし、不快感があっても「そんなものかな」と受け入れてしまっている人が多い気がします。でも、テクノロジーは日々進化していますし、自分に合うものを積極的に探していきたいですね。
2025.05.14(水)
文=今富夕起
写真=玉村敬太(TABUN)
ヘア&メイク=松永奈巳
スタイリスト=藥澤真澄