いつかババアばっか集めて、独立した村作ってやる
――これから「光浦靖子」はどこに向かうのでしょうか。
光浦 とりあえず、お金を稼いでみたいです。学校を卒業して、3年の就労ビザをゲットできて、ようやく働けるようになったので、これからは、どうやってお金を稼いでいくか。手芸をやったり、芸能をやったり、自分ができること、自分の能力をカナダで試したい。
今向こうで手芸のワークショップやってるんですけど、日本人の方がもういっぱい来てくれるんですよ。「光浦さんに影響されて留学しました」っていう50代の人が、 毎クラス来てますね。どうしても会いたくてって来てくれる。私はその人たちを「靖子チルドレン」って呼んでます(笑)。
――靖子チルドレン!
光浦 靖子チルドレンたちにね、日本帰ったら増殖させといてって言ってる。 最終的にどこに住むかわかんないけど、いつかコミューン作るから、ババアばっか集めて、独立した村作ってやるからって。いつか靖子が手芸だけで食っていける場所を作って、みんなで拡大鏡買って、ババアは小さいの見えねえからって笑いながら刺繍するんです。 ハンドメイドとか手間がかかったものを買う金持ちはいるから、そこにうまいこと靖子が昔取った杵柄で、芸能人ルート開拓して売るから。それを信じて今はがんばって生きなさいって。もはや宗教(笑)。
――今、光浦さんの「拠り所」はどこですか。
光浦 どうしてんのかね……ほんと誰にも頼らず(笑)。そう考えたら、1個の大きな敵は病気ですね。あとは自然災害。もう自分の力では到底太刀打ちできないことが起きた時に、こんな1人でどうやって乗り越えられるのかなっていうのはちょっと不安はありますけど。でもその時は……得意の泣きそうな顔して「ヘルプミー……」って言って、人の優しさにつけ込もうかな(笑)。
――女性芸人さんにインタビューすると「光浦さんに優しくしてもらった、助けてもらった」っていうお話、すごく聞くんですよ。光浦さんは今までたくさんの「ヘルプミー」に応えてきた人なんです。
光浦 (笑)。じゃあ遠慮なく「ヘルプミー」しますね。
光浦靖子(みつうら・やすこ)
1971年生まれ。愛知県出身。幼なじみの大久保佳代子と「オアシズ」を結成。国民的バラエティー番組『めちゃ×2イケてるッ!』のレギュラーなどで活躍。また、手芸作家・文筆家としても活動する。大評判となった前著『50歳になりまして』(文藝春秋)のほか、『私が作って私がときめく自家発電ブローチ集』(文藝春秋)、『靖子の夢』(スイッチ・パブリッシング)、『傷なめクロニクル』(講談社)など。2021年からカナダに留学。
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2024.10.12(土)
文=西澤千央
撮影=深野未季