2024年上半期のビューティ界においてホットニュースだったのが、世界で人気を集めるカナダ発のスキンケアブランド「The Ordinary(以下・オーディナリー)」の日本上陸。

 オーディナリーといえば、2016年にカナダで誕生して以来、成分名が製品に記載された大胆ながらもスタイリッシュなパッケージ、使う成分にこだわっているのにプチプラであるとして、日本のコスメフリークの間でも話題のブランドでした。

 長く日本上陸を望む声があったものの、購入できるのは海外。それがいまなぜ上陸したのか。 サイエンス コミュニケーションズ マネージャーのリタ シルヴァさんに話を伺いました。


クリーンビューティではなく“クリアビューティ”であること

――まずはブランドの哲学と、最も重要な価値観について教えてください。

 オーディナリーは、コスメ業界ではあまり行われてこなかった、有名な成分を適切な価格で市場に提供することによって、スキンケアを民主化しています。

 私たちは世界で最も研究され信頼されている、エビデンスのある成分を使用することで、高い効果、手にとりやすい価格帯かつ分かりやすい表示でユーザーに届けたいという想いを非常に重要視しています。

 そして、派手なマーケティングによる広告費を価格に反映し、ユーザーに転嫁することは絶対にありません。

――そもそも「成分」をキーワードにして製品を開発しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

 コスメショップに入って、5ドル、50ドル、500ドルのセラムの品質の違いを理解し、説明できますでしょうか? おそらく多くの人が答えられないかと思います。それは同時に課題だと感じていました。

 食品や医療などの業界では、商品を紹介するにあたって、成分が説明の中心にありますよね。それにより価格がより透明で消費者にとって公正なものになっています。コスメも同じようにあるべきだと思ったんです。

 そこで、長い歴史があり世界中で愛されている成分に我々が最も尊敬している科学の力をあわせて、最大限の効果を発揮するコスメをつくることにしました。

2024.10.02(水)
文=CREA編集部