でも、森選手は154cmと小柄で、どうしてもハンディはある。そこを彼女の技術でどうカバーできるか。今はリードとボルダリング2種目とも強いヤンヤが圧倒的な力を誇っていますが、去年の世界選手権では、森選手がリードで圧勝し銅メダルを獲得している。パリでもメダルの可能性は大です。 

ボルダリングでいかに高得点を取れるか

――楢﨑選手は、パリ五輪ではどんな戦い方をしますか。

野口 心身共にかなり上向いているので、期待していただいてもいいと思います。勝つためには最初の種目のボルダリングでいかに高い得点が取れるか。出場選手はみな同じようなことを考えていると思うけど、智亜は最大の100点に近い点数を獲る実力がある。ボルダリングで2位をいかに引き離すかがカギですね。

 リードはどんな課題が出されるか当日まで分からない。壁の上部になると1手4点ずつ離されてしまいます。やっぱり何手食らいついていけるかが勝負でしょうね。

 例えばボルダーの一完登だと25点ぐらい離せるのですが、リードの上部で5手足りないと20点ほど巻き返されちゃう。6手だと24点。だからボルダリングで大きく離してアドバンテージを持っておくと、リードの時に余裕を持って臨めるはずです。

 私も現地に応援に行きますけど、智亜だけでなく4人の日本人選手には、メダルの場所にまで登攀して欲しいです。

2024.08.20(火)
文=吉井 妙子