Magnificent View #169
タージ・マハル(インド)

(C) Marco Pavan / Grand Tour / Corbis / amanaimages

 タージ・マハルは、ムガール帝国の皇帝シャー・ジャハーンが、1631年に亡くなった愛する妃、ムムターズ・マハルを偲ぶために建立した霊廟である。

 インド北部のアーグラにこの巨大な墓碑が造られるに当たっては、国を傾けるほどの想像を絶する費用が投じられ、ペルシャやアラブ、さらにはヨーロッパから、2万人にもおよぶ職人が招かれた。すべてが完成した時には、妃の死から22年の歳月が経っていたという。

 この霊廟は、イスラム教とヒンドゥー教の伝統を融合させたムガール様式の傑作。完璧なシンメトリーを示す白い大理石のドームは、世界で最も美しい建築物とも讃えられる。

 シャー・ジャハーンは、ヤムナー川をはさんだ対岸にタージ・マハルとまったく同じ建物を黒い大理石で造り、自らの霊廟にしようとしたとも伝えられる。が、彼は謀反を起こした三男によって皇位を剥奪され、失意のまま没してしまう。夢が叶うことはなかった。

Column

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2014.03.18(火)